難しいビジネス書や資料を前にして途中で挫折した経験はありませんか? 短時間で本の内容をきちんと理解できるという驚きの速読法を、速読日本一の角田和将さんに教わります。

1冊を速く3回、見ると記憶に残る

学生の頃の私は、読書が好きではありませんでした。国語が超苦手で、読書=国語というイヤなイメージを持っていたのです。大抵のことはインターネットで調べられるので、読書なんて必要ないとすら感じていました。転機となったのは、住宅ローンを組んだタイミングでお金の勉強を始めたこと。500ページを超える課題図書を、短時間で読み切って理解しなくてはならない状況に追い込まれたのです。効率よく本の内容を覚えたいと思い、速読を学び始めました。

イラスト=itabamoe

ビジネスの場でも、教材やマニュアル本を読まなくてはならないことがあると思います。数ページ読んだだけで集中力が切れてしまい、1冊読み切ることができないという人もいるのではないでしょうか。そんな人に少し思い浮かべてほしいのですが、ゆっくりと丁寧に読み進めても、内容の多くは記憶に残っていないのではないでしょうか。1回読んだだけでは理解度は上がりません。

それなら、速いスピードで何度も読んだほうが効率的。忘れる前に読み返すと、頭に残る情報量が格段に増えます。私が教える速読法では、1冊を3時間かけて1回読むところを、1冊を1時間で3回見ます。

この読み方を数階建ての書店に行くことにたとえると、1回目はビル全体の把握。「2階はビジネス関連なのね」というように、全体がどのような構造になっているのかをチェックします。2回目は、各階がどのようなつくりになっているかの確認。「ビジネスフロアは、経済関連のコーナーが充実しているんだ」というようなイメージです。最後の3回目は、そのコーナーの本の見定め。「売れている本はどれかな?」と、調べるように見ていきます。

このように、全体から細部にフォーカスしていく読み方をすることで、詳細まで把握できるようになります。さらに本を読むスピードを上げれば、反復学習に使える時間が増え、理解も深まります。この読み方なら1日で1冊の本を読んで、しっかりと理解することが可能に。単純計算でもひと月で30冊分の知識が身につくということになります。