毎月1度やってくる生理。その期間は、ちょっとめんどうで憂うつな気持ちになるのは女の宿命……。ただし、痛みなど生理時の不快症状には個人差があるもの。他人と比較できない「生理痛」に関して、産婦人科医の対馬ルリ子先生にお話をうかがった。

定期検診で、自分のカラダを知ろう

写真=iStock.com/Deagreez

「生理とは、機能が正常という意味で、医学用語では『月経』と呼びます。月経の際の下腹部の痛み『月経痛(通称:生理痛)』は、程度の差こそあれど誰にでも起こります。そもそもこの痛みは、子宮内膜が子宮壁から剥がれ落ちる際に放出される、プロスタグランジンという痛み物質によるもの。子宮内では排卵後、受精卵を育てるために内膜をやわらかくフカフカにして準備をしますが、妊娠が成立しなければ剥がれ落ちます。これが月経。子宮筋腫や子宮内膜症など器質的疾患のある人、子宮内膜が厚い、子宮口が狭い、子宮壁が硬いなど機能的異常がある人は、月経痛が重い『月経困難症』になることが多いですね」

機能的な疾患には「冷え」も含まれるので冷やさない努力も大切。

「月経痛がひどい場合には、仕事を休んだり、精神的にも落ち込んだりし、なかには仕事を辞めてしまう人もいるほど。筋腫や内膜症などの病気が原因の場合もあるので、まずは自己判断でガマンせずに婦人科を受診し、自分のカラダの状態を確認することが大切」

ガマンは美徳ではない。鎮痛剤などをうまく利用するのも大切だと対馬先生。

「市販の鎮痛剤も有効ですが、効きにくい場合は、医師の処方する低用量ピルの服用で月経困難症を改善させることもできます」

鎮痛剤が効かなくなった、飲んでも痛みが治まらないなどの場合も、迷わず婦人科を受診しよう。

「健康管理の一環として、月経が3カ月前、半年前と比べて重くなった、軽くなったなど、自分の月経の状態を把握しておくことが大切。大人であれば、自分のカラダに責任を持ち、適切な対処を。月経の状態は、自分自身のライフプランにかかわります。少なくとも2年に1度は超音波検診をして子宮の状態を調べておくことをオススメします」

対馬ルリ子(つしま・るりこ)
対馬ルリ子 女性ライフクリニック銀座 院長
産婦人科医。医学博士。2002年にウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックを開院。12年、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿を開院。的確で親身な診療で多くの女性から信頼を寄せられる。03年に女性のココロとカラダと社会とのかかわりを総合的に捉え、健康維持を助ける女性外来を推進する「女性医療ネットワーク」を設立。さまざまな情報を発信しながら啓発活動を行っている。