先進国と途上国の食の不均衡解消に取り組む「TABLA FOR TWO」。このNPOでマーケティングを担当する大宮千絵さんは、もともと大手自動車会社の正社員でした。育休中に読んだクレイトン・クリステンセンの『イノベーション・オブ・ライフ』が、人生を変えるひとつのきっかけになったといいます。

――著者いわく、労働の動機付けには収入や地位を目標にして働く“誘因理論”と、モチベーションを大事にする“内的動機付け理論”の2つがあると。人は誘因理論に従って働くと、目標が満たされたときに不満は持たないけれど、心から満足することもない。そして、「人生に心から満足したいなら、素晴らしいと信じる仕事をするしかない」と書かれていて。まさにそうだなと思い、その言葉が深く心に刺さりました。

自身もプロのPRとして、フリーランスで働く平田麻莉さん。今年、日本で初めてフリーランスのための協会「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」を立ち上げました。2児の母として育児もしながら、不安はないのか、そのエネルギーはどこから湧いてくるのか聞いていると、学生時代に読んだ本に当たりました。

――将来は、社会問題を解決する新しい手段を生み出したい。企業に就職して“○○会社の平田さん”になるよりも、自分の仕事で仕事をしたい。大学に入った当初からそう思っていました。(中略)ゼミで知って手に取ったのが『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』。この本が書かれたのは1991年ですが、将来、テクノロジーの進歩とグローバル化で、なくなる仕事があることや、今後どんな人が活躍していくかが先取りして書かれていました。“一人一人が知的でクリエイティブなプロフェッショナルを目指さなきゃいけない”という点は「確かに」と思い、私も社会にどのような価値を提供し、貢献できるのかを自覚的に模索して、キャリアを築く必要があると感じました。

プレジデント ウーマン 2018年1月号「いま読み直したい感動の名著218」

チャレンジをする勇気が湧いた、人生をかける仕事に出合った、何が起きても生き抜く覚悟ができた……。本についての特集ながら、読書体験だけではなくその人の生き方そのものが伝わるインタビューばかりでした。

同じ本を読んでも、人によって感じることはさまざま。そして同じ人が同じ本を、時を経て読んでも、感じることはさまざまです。自分のなかに気づきや行動を起こす“芽”があってこそ、本が人生を変えるのです。

「プレジデント ウーマン」(2018年1月号)でご紹介する218冊超の本のなかには、心のもやもやを整理してくれるもの、いま一歩踏みとどまっている決断を後押しするもの、あるいは思ってもみなかった新しい方向性を示してくれるものがあるかもしれません。その1冊をぜひ、この特集の中から見つけてください!