2008年にリーマンショックが起きたとき、投資ファンドで働いていた白木夏子さん(HASUNA社長)。この先の進むべき道を考えるなかでジャック・アタリ『21世紀の歴史』を読み、起業への決意を固めたそうです。
――現時点では、未来はどうなるかわかりません。その不確実性のなかで自分はどのように生きていくのが理想なのかが定まると同時に、私は超民主主義のなかで社会に貢献できるようなビジネスがしたいと、目指すべき立ち位置が明確になりました。
NYに住んで30年、最新作『おクジラさま』を今年発表したドキュメンタリー映画監督の佐々木芽生さん。なぜそんなに長く海外に住み続けているのだろうと話をうかがっていると、20代前半で読んだ沢木耕太郎さんの『深夜特急』が原点に。3週間ほどの旅のつもりで向かったインドで、無一文になったときの思いを話してくれました。
――最初に「ゼロ」の概念を考えたのはインド人です。25歳のとき、そのインドでまさかの「ゼロ」の状態になった。人間ひとり生きていくために必要なものって、こんな最小限なんだと思いました。解放されましたね。私の本当の人生のスタート時点だったと思います。(中略)インドからロンドン、NYを経由して東京に帰る予定でしたが、NYに着いたとき、ポケットには20ドルしかなかった。しばらく滞在したくなり、仕事を探したらすぐに見つかって、就労ビザも出してもらえることになりました。それから30年。いまだにインドからの帰国の旅の途中なんですよ (笑)。
幸福学研究の第一人者・前野隆司を夫に持つ前野マドカさん。いまは幸福学の共同研究者として活躍しています。マドカさんは、出産後長く専業主婦を続けていました。ただ、前野隆司さんの著書『幸せのメカニズム』に書かれている「幸せになるための4つの因子」について、普段から聞いていたそうです。そんなとき舞い込んできたのが、小学校のPTA会長をやってくれないかという話でした。
――新しいことに挑戦しなければならないときは、どうしても不安な側面を考えてしまいます。ところが四因子を理解していると、とりあえずやってみようと思える。自分らしく取り組もうと前向きになれるんです。(中略)PTA会長職の依頼を受けたとき、当初は「そんな大役はできない」と断ったんです。その夜、夫にその出来事を伝えたところ「そんなすばらしいチャンスを受けないなんて。僕には断る理由がわからない」と言われました。そのとき、あらためて四因子について考え、やはり引き受けよう! と決断しました。