ファイナンシャルプランナー 浅田里花さんからアドバイス
▼「個人年金」のネーミングに惑わされないで
まず、大切なのは「保険」と「貯蓄」を分けて考えることです。“貯蓄性のある保険”と聞くと、いかにもお得なイメージがありますが、保険料すべてが積み立てられるわけではなく、途中解約すると元本割れする期間が長くあります。個人年金保険はそのネーミングから老後が不安な人に人気がありますが、保険料負担に無理なく加入できる商品だと、“年金”のもらえる期間は10年。
それなら、自分で貯めた貯蓄を10年かけて取り崩したほうがいい。
また、渡辺さんは病気やけがで休職したとしても、健康保険制度から「傷病手当金」が給付されます。やみくもに保険を増やさず、国や勤務先の制度でカバーできる範囲を確認することも大切。
生命保険も見直しを。シングルなら、入院給付金日額が5000円程度の医療保険があれば十分です。子どもがいる“大黒柱”向けに設計された内容の保険は解約し、浮いた予算を貯蓄に回すといいでしょう。
将来に備えるなら「個人型確定拠出年金(DC)」がおすすめ。“じぶん年金”をつくるための国の制度で、運用方法を決めるのは加入者自身。リスク商品の選択がポイントとなりますが、さまざまな節税メリットもあります。なるべく長期間積み立てたいのと、60歳から受け取るなら最低10年加入する必要があるため、早めに行動したほうがよさそう。
周囲との人間関係も大切です。困ったときに頼れる相手は一朝一夕ではつくれません。家族、友人との関係づくりに、意識的に時間とお金をかけることもおすすめします。
1. 保険加入を急ぐ前に、目の前の制度を確認しよう
2. 個人型DCに入るなら早めに! 長期の積み立てでリスクを減らす
3. お金も大事だが、助け合える人間関係づくりも大切
イラスト=ミーシャグラフィカ