グローバル社会で必要な英語力とは何か? わが国の英語指導の第一人者である安河内哲也氏による「ビジネス英語達成法」第2弾は、「音読学習」にフォーカスする。この7つの鉄則のもと、毎日15分の音読学習を実践しよう!
独自の勉強法を開発して海外留学経験のないままTOEIC 4技能満点を獲得した安河内哲也氏は、英語には、必ず話せるようになるための鉄則があるという。今回のテーマは、最近注目されている音読学習。まずは、音読の効果と必要性について解説していただく。
「ボキャブラリーや文法の知識を頭に入れるだけでは英語は話せない。英語の習得には、知識を自動的に結合して自由に使いこなすための反射神経が求められます。この反射神経を高めるうえで、音読が効果的なのです」
英語を聞いたままで理解するためにも音読は欠かせないという。
「英語を聞くときは、センテンスの左から右へ聞き、理解します。文章の後ろから前へと理解していたのでは話のスピードについていけないからです。英語ができる人は頭の中で日本語に変換することなしに英語を理解しますが、音読をすると、声に出して読んでいる間は、頭の中で日本語に変換する余裕がない。だから、英語を英語のままで理解せざるを得ない。これが、音読学習が効果的な理由です」
では、具体的に音読学習をどう進めるか。効果的な学習のための7つの鉄則を教わる。
鉄則1 まずは意味と文法を学ぶべし
Learn the meaning of the sentences first.
「いかに音読が大事とはいえ、言葉の意味や文法を理解したうえで行う必要があります。英語の初心者がシェークスピアに挑戦してどんな意味があるのか(笑)。だから、教材を選ぶときも、単語の意味や訳文のついたものがいい。自力で辞書を引く手間を省きましょう」
さて、ここからが、実際の音読学習の開始。まず気をつけるのは我流の読み方だという。
鉄則2 ネイティブを真似すべし
Imitate a native speaker's way of reading.
「現在、音読はたしかにブームですが、我流の音読はダメです。ネイティブの発音を真似しなくては意味がない。我流の読み方をしていると、それが固定化してしまい、後から修正するのが難しくなります。選ぶ教材も『ニューヨークタイムズ』とかではなくて、中学生、高校生向けの簡単なものでいい。文章をリピートするときは、センテンスごとにネイティブの発音をリピートするのが効果的です」
ネイティブのイントネーションを学ぶには、オーバーラッピング(文章を見ながら一緒に音読する)やシャドウイング(文章を見ないで一緒に音読する)が欠かせない。
鉄則3 歌を覚える感覚で克服せよ
Learn English like you learn how to sing.
「ネイティブと同時に音読することは、正確にイントネーションを覚えるために欠かせません。ネイティブを真似ながらある程度の長さの文章や歌の歌詞を読んだり歌ったりできれば、語尾の子音と語頭の母音がつながるリエゾンなどもごく自然に身につきます」
この後の二つの鉄則は、日本人があまり得意とするところではない。つまり、音読学習における最難関かもしれない。
鉄則4 暗唱して自分の言葉にせよ
Memorize the sentences and reproduce them as if they were your own words.
「一生使う局面がないような例文を暗唱する必要は、言うまでもなく、まったくありません。しかし、日常でも使う可能性の高い言い回しや文章は、とにかく暗唱することが大事。映画のセリフでもいいのです。とにかく暗唱する。そして自分の言葉にして、いつでも取り出せる引き出しに入れておくことが重要です」