投資方法の組み合わせで
リスクを回避する
──投資には元本割れのリスクがあります。どうやってリスクと向き合えばよいのでしょうか。
【平野】基本は値動きの異なる資産を組み合わせ、分散投資していくことです。一般的に、株式と国債などの債券は逆相関の関係にあると考えられています。たとえ株価が大きく下落しても、反対に債券価格が上昇すれば、資産全体の落ち込みをヘッジできるというわけです。このように、値動きの異なる資産を組み合わせておくことで、資産全体の値動きのブレ幅を緩やかにする効果が期待できます。
しかし安定性を重視していけば、株式本来の収益性は落ちてしまいます。収益性と安定性のバランスをどう取るかは、目標とする運用利回りと運用期間によって変化します。
近年は世界経済全体の連動性が高まり、教科書的な分散効果が働かない場面も増えてきました。それでもリーマン・ショック以降、国際分散投資をしていた人は比較的回復が早く、その後の資産形成も順調に進んでいます。ベースとなる日本国内の資産に加えて、新興国をはじめとした海外資産を保有しておくことは、為替変動リスクの回避にもつながります。
外部の専門家の力を
家計マネジメントに生かす
──家計をマネジメントしていくためのアドバイスをお願いします。
【平野】資産全体のバランスに目を配りながら、経済情勢の変化にもアンテナを張り、最適な資産運用を行っていく。これらを自力でまかなうのは想像以上に骨が折れる作業です。企業経営と同様に、これからは個人でも、専門家の力を活用する時代。金融機関や不動産会社と付き合うときも、単に商品や物件を購入するだけではなく、家計全体の具体的なアドバイスができるパートナーを選ぶことが大事だと思います。
社会経済が大きく変動する転換期にあって、家計もそれに合わせて進化しなければ、生き残れません。繰り返しになりますが、何よりも重視すべきは、成長が期待できる資産に投資していく視点です。そんな資産を見抜くセンスは一朝一夕で身に付くものではありません。人生戦略を立て、より豊かに生きるための知恵や知識を磨くなど、自分自身を成長させていくことが必要だと思います。
資産運用は運用期間が長いほど有利に働きます。もしも必要性を感じているなら、「いつかやろう」ではなく、今すぐ行動を起こすべき。NISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金などの支援制度も積極的に利用していくとよいでしょう。早いうちから戦略を立て、資産運用を始めれば、より豊かな人生を送れるはずです。