収益源として、また相続、事業承継への備えとしてオーナー経営者にも人気の賃貸経営。需要が高い中規模オフィスビルのワンフロアに投資する、新たな手法が支持を集め始めている。

旺盛な需要に対して
供給が少ないのが特徴

VORT麻布イースト

継続した賃料収入が見込めることで人気の不動産投資。なかでも近年、安定した高い利回りが期待できる、と一部のオーナー経営者が高く支持しているのが「区分所有オフィス(R)」(※1)だ。オフィスビル投資というのは、資金力のある法人や個人がビル一棟を購入するもの──。そんな常識を覆し、都心の一等地に建つ中規模オフィスビルをフロアごとに分けて販売。資産価値が高い物件をより広い層が取得できるようにした。

この事業を手がけるボルテックスの宮沢文彦社長は、経済産業省の「Japan Venture Awards 2014」で「ビジネスモデル活用特別賞」を受賞。同社の売上高は、この2年間で約2.5倍に拡大している。ボルテックスが都心の中規模ビルに着目する理由を取締役の天崎日出雄氏は次のように説明する。

「東京への一極集中がさらに進むなか、都心のオフィスの需要は高まっています。ただ、都内では大規模ビルの再開発が進む一方、中規模オフィスはここ十数年ほとんど増えていない。用途、エリア、規模などの観点から考えたとき、旺盛な需要に対して供給が少なく、安定的な収益を上げられるのが都心の中規模オフィスなのです」

区分所有のメリットは、同じ2億円の予算で、小さなビル一棟を買う場合と中規模ビルのワンフロアを買う場合を比較するとよく分かる。一定の広さを持つフロアなら、狭い部屋より高い賃料を設定でき、経営の安定した中堅企業、例えば大企業のグループ会社などに長期間貸し出せる。また、共有部の管理コスト等を軽減できる利点もある。10階建てビルのワンフロアだけを所有しているのであれば、管理費の負担は10分の1で済むからだ。さらに、敷地が広く再開発などの際も高い価値が見込める一方、小口化されているため、流動性が高いのも特徴だ。

オーナー経営者が「区分所有オフィス(R)」に投資する目的には次のようなものがある。一つは本業に連動しない収益源をつくり、事業の下支えとするケースだ。景気に左右されない収益源があれば事業基盤も安定する。

そして相続税制の改正を機に急増しているのが、相続や事業承継に備えて現金資産を「区分所有オフィス(R)」に替えるケースだ。2億円で購入した賃貸オフィスが相続税評価額では数千万円と、8~9割程度の資産圧縮効果がある。また、自社株の評価を下げることによって事業承継対策にも活用できる。加えて、物件の流動性が高いので、納税資金を得るために売却することも容易だ。

※1 「区分所有オフィス(R)」は、株式会社ボルテックスの登録商標です。