1989年に創業し、「フェニックス」シリーズで実績を重ねてきたトーシンパートナーズが、一昨年、新ブランド「ZOOM」を立ち上げた。特徴はどこにあるのか千代谷直之専務に聞いた。
実物資産として
富裕層からも注目
千代谷直之●ちよや・なおゆき
株式会社トーシンパートナーズ
専務取締役
「お客様のお役に立ちたい、というのが営業マン時代から貫いている私の原点。細部にまでこだわり、一棟一棟つくり上げているZOOMシリーズでも、オーナー様、入居者様それぞれに、新しい価値を提供していきたい」
株式市場が活性化し、国も税制面などで「投資する人」をサポートする中、資産運用に積極的に取り組む層が拡大している。株式や投資信託も人気だが、一方で賃料収入が得られ、最終的に実物の資産が手元に残る不動産投資に関心を寄せる人も少なくない。
特に東京を中心とした日本の都市部の不動産の利回りは世界的に見ても非常に高く、現在、魅力的な投資対象だ。加えて近年は、投資用不動産のローン金利が非常に低くなっていることもあり、公務員やサラリーマンの間にもマンション投資などが浸透している。
しかしそうした中、「ここ最近は購入されるお客様の層に変化も見られる」。こう話すのは、トーシンパートナーズ千代谷直之専務だ。同社は創業26年。都内を中心にワンルームマンションの企画・開発・販売を手がける会社だが、「これまでと比べ、現在は医師や弁護士、会社経営者など、いわゆる富裕層のお客様も多くなってきている」という。
背景に、国が政策的に推進するインフレへの動きがあるからだろう。インフレとなれば、当然、現金の価値は目減りする。そこでポートフォリオに、物価との連動性がある不動産を組み入れる人が増えているわけだ。金融資産を中心にポートフォリオを組んでいる人にとって、実物資産を持つことは分散投資の観点からも大きな意味がある。
さらに不動産投資には、税制面のメリットもある。今年1月からの相続税の増税は富裕層にも多大な影響を与えているが、手持ちの現金で不動産を購入することにより、相続税評価額を大幅に圧縮することが可能だ。
立地や品質にこだわり
高い賃料を実現
そうした状況で着実に支持を広げているのが、トーシンパートナーズが2年前にシリーズ化したハイクオリティなマンション「ZOOM(ズーム)」だ。すでに18棟の販売実績があるが、いずれも「相場以上の家賃ながら人気」という。
人気の秘密。その第一はロケーションへのこだわりだ。トーシンパートナーズでは、主な開発エリアを東京都心部と城西・城南地区、そして神奈川県の一部としている。しかも人気路線の駅から徒歩10分以内が基本である。
「厳選した立地は、より高い賃料を得るための前提条件です。長期安定的な賃料収入を確保できる、入居者様に選ばれ続ける物件を生み出すことが私たちの仕事。そのためZOOMでは、デザインや品質面にも相当のリソースを注ぎ込んでいます」
それぞれの地域にマッチした物件とするため、ZOOMのデザインは一棟ごとに異なる。デザイナーと何度もやり取りを重ね、外観や内装だけでなく、基礎構造から検討。個性を際立たせながら、20年後、30年後も住みたいと思えるマンションづくりを実践している。
例えば「ZOOM池尻大橋」。6色13層のタイルで有機的な地層を表現するなどしたこのマンションは、「立地特性を踏まえ、細かな配慮を伴ったプランを施している」として、2014年度グッドデザイン賞を受賞。近隣の家賃相場より高い賃料ながら、好調な運用が続いている。
とはいえ、「個性的なデザインで実用性が失われてしまってはならない」と千代谷氏は付け加える。ZOOMのコンセプトは「SAFETY(安全で、安心する)」「SENSE(センスが刺激される)」「PRACTICAL(実用的で使いやすい)」の三つ。これをベースに、機能美と使いやすさの観点から室内外の設備なども絞り込んでいる。