入居者のニーズを
エリアごとに徹底調査


グッドデザイン賞を受賞した「ZOOM池尻大橋」の外観(写真左)ほか、ZOOMシリーズのエントランスや室内。高いデザイン性とクオリティ、実用性を備えている。

立地やデザイン、実用性──これらがZOOMが選ばれる理由だが、こうした強みを創出する同社の事業スタイルや戦略性も見逃せない。

例えば、エリアマーケティングの徹底。同じエリア内でも立地特性や生活環境などにより、ターゲットとなる入居者の層は変わってくる。「アクティブに働く女性」や「パワーエリート」など、それぞれライフスタイルにマッチする住まいとはどのようなものか。同社では、実地調査とデータ検証を繰り返し、具体的なイメージを練り上げていく。潜在ニーズを探り当てる手法の確かさは、賃貸物件の仲介会社も高く評価するところだ。

実際ある物件では、すぐ隣の新築マンションに空室が目立つなか、わずか2週間で約80戸への入居が決定している。隣よりも高い賃料でだ。

「入居者様の間にも、単に安さばかりを求めるのではなく、ある程度の家賃を払ってでも快適で居心地のいい住まいで暮らしたい、自分のスタイルに合った部屋に住みたいという考えが広がっています。まさに、そうした需要に応えるのが当社のZOOMなのです」と千代谷氏は言う。

そしてもう一つ、トーシンパートナーズを特徴づけているのが、オーナーへのきめ細かいアフターフォローだ。例えば、カスタマーリレーション専門の部署を設置し、専任スタッフによるサービス体制を確立。マンション経営に関するあらゆる相談に、「できる、できない」ではなく、「どうしたらできるか」という視点で対応しているという。加えて、グループ会社が管理する約9600戸の入居率は98.6%である(2015年6月実績)。

何十年にもわたって、継続的にインカムゲインを得られるのが賃貸住宅経営の特徴だ。しかし当然ながら、すべての賃貸住宅で計画どおりの家賃収入を確保できるわけではない。むしろそうした物件は限定的かもしれない。そう考えたとき、質の高さにこだわり、入居者の潜在的なニーズを掘り起こすことに成功しているZOOMは、十分検討に値する投資対象の一つといえそうである。