出典:住宅・土地統計調査結果(総務省)

住宅用の太陽光発電システムの累計設置台数は、2012年に100万件を突破し、その後も着々と増加。総務省統計局による2013年の調査では157万戸を数え、52万戸だった2008年と比較すると、5年間でおよそ3倍の規模に膨らんだことになる。

このように、再生可能エネルギーの市場は飛躍的に拡大し、多様な事業者がメガソーラー設置に乗り出すニュースを耳にする機会も珍しくない。「うちにもそろそろ……」と、家庭用や事業用として導入を考えている方も多いだろう。では、どのような視点から検討していくべきか。また、どんな進化を遂げ、いかなる可能性を秘めているのか。「知っておきたいキーワード」をピックアップする。

「グリッドパリティ」で
広がる電力の選択肢

近い将来、太陽光発電において達成されると見られているのが「グリッドパリティ(Grid parity)」である。グリッドパリティとは、「これまで電力会社から購入していた電力と同等のコストで再生可能エネルギーを導入できる」状態であることを意味する。

世界に目を向けてみると、国内の電力需要のうち、20%以上を再生可能エネルギーが占めているドイツでは、すでにこのグリッドパリティが成立している。太陽光発電の導入実績では世界的に高い評価を得ている日本でもこの動きがより活発化し、住宅部門では「自家消費」が促進される方向へ進むと考えられるのだ。発電効率はもちろんだが、今後はますます「いつまで、どれだけ発電できるのか?」という「耐久性」も重要なポイントとして踏まえておく必要があるだろう。

また、別の側面に視線を転じれば、太陽光発電は「農業の未来」に貢献するとして期待されている。作物の育成をさまたげることなく、耕作地を利用した太陽光発電事業に取り組む。「営農型発電」とも呼ばれる「ソーラーシェアリング」である。

具体的には、耕作地に支柱を立て、いわば「藤棚」のような架台を設置。「短冊状」の太陽光発電パネルを並べる仕組みだ。生育に必要な一定の太陽光を確保しながら、同時に、強すぎる太陽光のダメージを緩和する役目も果たしてくれる。この手法が普及していくことで、「持続的な農業」を目指せる環境づくりをサポート。後継者不足や放棄地といった諸問題の解決にもつながるというわけだ。

日々発展を続ける技術
着々と未来が現実に

省エネとあわせて、太陽光発電などによる「創エネ」によって、住宅が1年間に消費するエネルギーを「正味ゼロ」にする。そんな「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の普及を国が進めていることに象徴されるように、今後、再生可能エネルギーと暮らし、あるいはビジネスとのかかわりは、さらに深まっていくことは間違いない。

最近の動きでも、例えばこの6月、福島県南相馬市において大容量の蓄電システムの建設がスタートした。一般家庭4000世帯分の1日あたりの電力量に相当する、およそ4万キロワットアワーの再生可能エネルギーを貯めることが可能だ。また、宇宙空間に発送電パネルを搭載した衛星を打ち上げ、獲得した太陽エネルギーを地球に届けて電力として活用する「宇宙太陽光発電」も、地上での実証試験を重ねるなど、夢で終わらずに着々と実現に向けたプロジェクトが進行している。

これからも、さまざまな技術やアイデアが登場するごとに、未来は現実へと移行していく。その変化の一端を担う太陽光発電の動向を、見逃さないでいただきたい。