納得の住まいづくりの第一歩は住宅展示場から。百聞は一見に如かず。ウェブサイトで情報を集めたら、住宅展示場に足を運び、実際に見て、触って、住まいを感じることが肝心です。住まいの専門家である(株)さくら事務所の川野武士さんに、住宅展示場を使いこなすテクニックをうかがいました。

川野武士●かわの・たけし

(株)さくら事務所
ホームインスペクター
一級建築士

住宅と公共建物の設計、監理の経験を経て建築コンサルタントに従事。住まいの計画前から設計中、施工中、完成後まで幅広い相談に対応。また、施工中の現場では運営状況の改善などのアドバイスを得意とし、これまでに受けた住まいに関する相談は、1000件以上。状況に応じた的確なコンサルが好評を得ている。

 

1. 住宅展示場へ行くメリットとは?

→自分の目で見て、触り、同時に他社との比較もできる。

家をつくろうと思ったら、まず情報収集。最近では様々な住宅メーカーが自社のホームページで情報を公開していますので、まずそれらをチェックしたうえで、住宅展示場に足を運ぶ方が増えています。

住宅展示場に行くメリットは、住宅の外観はもちろん、室内も自分自身で確認することができるうえ、営業担当者から話を聞くことによって、インターネット上だけではわからない有益な情報を得られること。質感や素材感はウェブではわかりません。各住宅メーカーの最新のモデルハウスが並んでいますので、比較することも可能です。

ただし、そうしたモデルハウスの多くは、広い敷地を活かして一般の住宅よりもゆったりとした大きさで設計されており、設備や機能なども標準だけではなくオプションも装備され、非常に充実しているものです。

モデルハウスが自分の家に
なるわけではない

ここで勘違いしてはならないのは、モデルハウスと同じ家がそのまま建てられるわけではない、ということ。マンションのモデルルームの場合は実際の間取りの住戸がつくられていますが、戸建て住宅のモデルハウスは、あくまで参考例(それも一番豪華な参考例)であり、実際に住宅を建てるときには、その土地と予算に合わせたプランを提案してもらうことになります。

モデルハウスでは豪華なつくりの数々に目移りして、なかなか決断ができなくなり、住宅展示場を何カ所も回ることを余儀なくされる方も少なくありません。 

そうしたことを避けるためにも、住宅展示場に行く前に、自分たちがどういう住まい方をしたいのかということを家族で整理し、意見を統一しておくことが必要でしょう。

2. 事前に整理しておくべきことは何か?

→住みたい家のイメージを決め、設備、構造を把握して、得意なメーカーを調べる。

最も重要なことは、外観や内装、設備など、住みたい家のイメージをしっかりつくるということです。

例えば外観は和風なのか洋風なのか、屋根の形状はどうするのか。設備面では全館空調や太陽光パネル、オール電化、高断熱・高気密住宅、制震・免震など、選択肢として多種多様な仕様があります。自然素材を使った家をつくりたいという方もいるでしょう。

さらに、構造とのマッチングを考えることも重要です。住宅のおもな構造には木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造があり、それぞれ特徴があります。将来、二世帯住宅にする可能性がある場合や、大きな間取りにしたいなど、それに合った構造が必要になります。

こうした観点から家族で話し合い、優先順位をつけながら家のイメージをつくっていくことが不可欠。そのうえで各住宅メーカーのホームページをチェックすれば、ただ漠然とチェックするよりも効率的です。

ホームページにはそのメーカーの得意な分野や特長などが詳細に書かれていますので、自分たちの家のイメージと合致する住宅メーカーがいくつか見つかると思います。それらのモデルハウスが展示されている住宅展示場を調べ、ある程度絞り込むことができれば、何カ所も回らずにすむというわけです。