さらなる成長を獲得するために、日本はどのような方向性のもと、再構築を進めるべきなのか。「都市開発」の視点を中心に、ビジネスと暮らしのあり方を探る。
2020年7月の東京オリンピック開催、さらにはその先の経済成長を見すえて、ダイナミックな「ニッポンのリニューアル」が進んでいる。
日本が抱えているさまざまな都市の課題を解決するための取り組みとして、国は2001年より順次、「都市再生プロジェクト」を定めてきた。その選定方針は「都市構造に係る基本的課題に取り組むものあるいは従来と異なる新しい手法によるもので、関係省庁が総力を挙げて取り組む必要があるもの」、もう一点は「経済構造改革につなげるという観点から、民間の力を引き出すもの、あるいは土地の流動化に資するもの」。現在、都市再生本部によって第13次決定までがなされ、これまでに23の都市再生プロジェクトが公表されている。
この背景には、本格的な人口減社会の到来などを要因とする経済規模の縮小、それに伴う国際競争力低下への懸念がある。毎年、IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が発表している国・地域の競争力ランキングによると、近年、日本は20位台を推移。一時は首位の座を獲得していたものの、1990年代の後半にランクを下げて以降、なかなか浮上のきっかけをつかめないでいる。
だが、冒頭で述べたように、日本の都市はいま、飛躍するための助走期間にあるともいえる。ロンドンはオリンピック開催を契機に都市の力を大きく伸ばし、国際競争力の強化に成功した。同様に、東京を中心に活発化している再開発が「起爆剤」になる可能性も、十分に期待できるはずだ。
世界中の高度な人材を
惹きつける街づくり
飛躍の成否を左右するのは、当然ながら「どのような街をつくっていくか」というビジョンだろう。高齢化や市街地の拡散といった課題に対応していくために、とりわけ地方都市においては「コンパクトシティ」を目指す動きが目立っている。持続的な都市経営を実現すべく、ビジネス環境の維持・向上をはじめ、公共施設の効率化、子育てや教育、医療、福祉を利用する環境の充実、高齢者の社会参画の促進、さらには災害に強い街の構築や地球環境への貢献。人口や居住を集積し、都市機能を集約させることによって経済活動と暮らしの利便性を両立させ、なおかつ高めていこうというものだ。