東急不動産は、渋谷駅周辺および広域渋谷圏で数々の開発案件を手がけている。それらの概要や同社の街づくりがもつDNAについて、取締役常務執行役員・岡田正志氏に聞いた。
岡田正志●おかだ・まさし
東急不動産株式会社
取締役常務執行役員

「東急プラザ渋谷」が閉館
道玄坂一丁目で再開発始動

3月22日、「東急プラザ渋谷」がその約半世紀の歴史に幕を下ろした。渋谷駅西口前に建ち、多くの人々に愛され続けた複合商業ビルだった。東急不動産・取締役常務執行役員の岡田正志氏が感慨深げに語る。

「当社にとって『東急プラザ渋谷』は旗艦ビルの一つでした。商業ビルの原点でもあった。1965年の開業当時、専門店で構成されたビルというのは先駆的だったのです。まだ渋谷の商業施設が多くなかったころから、この街の発展とともに生きてきた建物でした」

開業して間もないころの「東急プラザ渋谷」(当時の名称は渋谷東急ビル)。

東急不動産ほか東急グループの本拠地である渋谷。いま、街の機能を時代に即した形に見直す取り組みが官民一体で進められ、渋谷駅周辺に4つある再開発事業の一部が着工済みだ。

「東急プラザ渋谷」跡地を含む道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発に、東急不動産は地権者および参加組合員として参画している。渋谷駅西口の玄関口となることが期待される新しいビルは、高層部にハイグレードオフィスが、中低層部に商業施設が入り、2018年度の開業を目指す。

「1階の一部には、空港リムジンバスも乗り入れるバスターミナルができます。海外から渋谷を訪れる人々の玄関ともなるでしょう。また地域に開かれた施設として、周辺エリアで課題となっている路上荷捌きの改善を目指し、建物の地下に共同の荷捌きスペースを設けます。駐輪場や道路面の整備も行い、街の歩行環境を改善したい」

岡田氏が強調するのは、この事業がビルの建て替えだけでないことはもちろん、「街としてどうするか、どうすれば街がますます栄えるか。他の地権者の方々や近接する渋谷中央街のお店の皆様と一緒に考え実行していく」という協働の基本姿勢である。

道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発のプロジェクトは、東急プラザ渋谷と隣接する街区で構成された0.6ヘクタールを一体的に整備。パースは、新たなビルが開業する2018年度の、渋谷駅西口交通広場のイメージ。