精製装置はレンタル方式
活用現場の見学も可能
この加水率約50%という次世代型燃料は、工業用バーナー、ボイラー(蒸気、温水)、発電機(小型~大型)、船舶などに使用できるという。ユーザーは、自社のスペースに燃料の精製装置を導入することとなる。
装置はスタンダード版とハイグレード版の2種類。スタンダード版は、本体が縦・横とも80センチで高さ180センチとコンパクト。その隣りに一段と小ぶりのサービスタンク(精製された燃料のタンク)を置く。
ハイグレード版は、設置に必要な床面積がスタンダード版よりも広くなる一方、油と水の融合のレベルがいっそう高まる利点をもつ。
スタンダード版の操作盤はタッチパネル方式で、ユーザーには分かりやすく簡単だ。いったん運転を開始すれば、あとは全自動で燃料の精製が進行する。一方、ハイグレード版の操作は、タブレット端末から行えるようにする予定である。
精製能力はいずれも標準仕様で1時間当たり100リットル(1日当たり2.4トン)だが、もっと大きな能力を発揮するプラント設計の要望にも応えるという。
導入を希望する企業に対して、精製装置はレンタル方式で提供される。実際に工場などで稼働した際の燃料コストの削減効果は、例えば年間15万リットルの重油を利用している場合でおよそ150万円だ。現在利用している重油の量にかかわらず、スタンダード版、ハイグレード版とも、コスト削減率は10%以上に達する。
VanaH WWIJ自身も、以前からの自社事業であるミネラルウォーター製造の工場にこの装置を設置し、ボイラーに次世代型燃料(基油は重油)を1日1~1.5トン供給している。装置は公開されており、見学も受け入れている。
また、このボイラーに対して実施された試験では、CO2の排出量が50%減ったほか、SOX、NOXも大幅に減少。環境負荷の低減もしっかり確認されている。
さらなる加水率アップへ
あくなき挑戦を続ける
同社が次世代型燃料に挑んだ動機を、山本氏は次のように語る。
「私たちはミネラルウォーターを主力製品に据えて水の事業を展開し、水資源の有効活用と環境保全に力を注いできました。その企業姿勢が、油の燃焼が引き起こす環境負荷の低減というチャレンジにつながったのです」
その挑戦は、とどまるところを知らない。加水率を80%までアップした燃料も、すでに具体化に向けた動きが着々と進行中だ。さらには、なんと加水率100%の燃料を目指す構想も描いているという。簡単にいえば、もはや油は不要。水にある種の添加剤を配合するだけで、燃料を生み出すアイデアなのだ。
「まずは加水率約50%の次世代型燃料を普及させることが第一ステップです。精製装置スタンダード版は向こう2年間で国内外に1000台、ハイグレード版は1年間で100台の納入が目標。レンタル方式なので、ユーザー様は初期投資がほとんど必要ありません。万一に備え、最高1億円のPL保険にも加入しています。ぜひ当社の工場見学にお越しいただき、ご自身の目で稼働中の精製装置を確かめてくださいますようお待ちしています」