ガレージ所有者に
多様なメリットを提供
屋根という空きスペースを活用し、賃料を得た上で再生可能エネルギーの普及にも貢献できるカクイチの「太陽光発電パートナー」。しかし利点はそれだけにとどまらない。例えば、太陽光パネルには遮熱効果があるため、夏場はガレージ内の温度を3~5℃低く抑えることが可能だ。また雨天時にはガレージ本体の屋根にあたる雨音も軽減され、腐食も防ぐ。そして何より安心なのが、もしものときの非常用電源を確保できることだ。
鉄骨構造と丁寧な仕上げによる頑丈さが特徴のカクイチのガレージは、昨冬の雪害でも倒壊例が1件もなかった。東日本大震災や中越地震の際には、オーナーや親類の一時避難所としても利用された。そんなガレージに非常用電源が設置されていれば、いざというときも心強い。
「太陽光発電パートナー」に申し込めば、電力会社などへの諸手続は代行してもらえるので手間もかからず、各種機器もカクイチの施工担当が責任を持って設置する。設置後の保証も含め、安心だ。加えて同社は、年に1度、太陽光発電システムのメンテナンスを行っているので、その際、ガレージ本体に気になる点があれば相談することも可能だ。
「パートナーの方からは、『ガレージの屋根をこんなふうに利用できるとは思わなかった』という声を多くいただいています。太陽光パネルは母屋に付けるのが一般的ですが、屋根に傷を付けることを躊躇したり、雨漏りを心配される方もいらっしゃいます。弊社が設置するパネルは発電効率が高く平置きができますから風の影響も受けにくく、ガレージ上に元からある金具を利用して設置するので屋根に穴を開ける必要もない。その点もご安心いただいているようです」
社会課題解決が
事業の重要な目的に
カクイチの代表的なガレージに載せられる太陽光発電システムは、約5~6キロワットクラスのもの。地域や気候などの条件にもよるが、年間でおよそ6000キロワット時の電力を生み出せる。二酸化炭素の排出削減量に換算すれば約3.2トンだ。
「屋根をお借りして行う太陽光発電というと、公共団体などの広大な建物でというイメージがあるかもしれません。しかし、一軒一軒の各ご家庭の空きスペースを有効に活用すれば、メガソーラーにも匹敵する電力を生み出せる。5キロワットが2000件集まれば、10メガワットにもなるわけです」
全国に広がる「太陽光発電パートナー」のネットワークの可能性に、情報通信会社や警備会社の関連企業などさまざまな企業も注目している。気象観測や防災・防犯分野における新サービスの拠点にできないかとの打診も多い。この太陽光発電が結ぶ新しいビジネスが、将来の生活インフラになっていく可能性をうかがわせる。
「今回のプロジェクトは弊社にとって、単に売電が目的ではありません。ですから買取価格が下がっても、固定価格買取制度が存在する以上は続けていきたい。今年度は新たに5000件の契約を目指したいと思います」と田中社長は意気込みを語る。
これまで同種のサービスは期間や戸数を限定したものが多く、カクイチのような例はまれだ。環境保全で成果を上げるには、長期的な粘り強い取り組みが鍵となる。ガレージの施工も自社で責任を持ち、古い型式の商品でも修理に応じるなど、顧客との長期的な関係づくりに力を入れてきた同社の姿勢が、この事業にも大きく生きている。
「ガレージの屋根」という身近なスペースを活用することで、再生可能エネルギーの普及を目指すカクイチ。これまで、ガレージのほかにも、樹脂ホースや鉄鋼建材、さらには環境・健康関連など多彩な事業を展開してきた同社による新たな挑戦は、社会課題の解決に正面から取り組む“いま求められるビジネス”の一つといえそうだ。