強い依存性のある薬

薬の弊害は、何といっても、子どもの身体への影響の懸念です。

薬に詳しい人の中には、「メチルフェニデート(商品名コンサータ)があるではないか」とおっしゃる方もいます。コンサータが注意欠如多動症を健康保険上の適応症としていることは事実です。

しかし、ここで注意しなければならないのは、メチルフェニデートは本来、ナルコレプシーと呼ばれる、一種の「眠り病」に対して眠気を覚ます目的で用いられた薬だということです。多動症に対しては、試しに使ってみたら効いたので、その後臨床経験の蓄積を検討して、ついに保険適用にまで至りました。

でも、この薬には強い依存性があります。地下に流れて、違法に売買されるリスクだってあります。国もそのことはわかっているので、極めて厳しい統制体制を敷いています。医師に対して、処方するたびに、その都度「ADHD適正流通管理システム」というところに登録することを義務付けているくらいです。

この薬には依存性は確実にあり、加えて長期服用の安全性について、誰も「大丈夫」とは言えません。医師の誰一人「害はない」と言うことはできないのです。最小限にすべきです。

窓の外を見ている女の子の後ろ姿
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生活習慣の改善で症状が軽減するケースも多い

ことは、メチルフェニデートだけの問題ではありません。発達障害という言葉が社会に浸透したのは、ここ20年ほどのことにすぎません。子どもたちに「発達障害」の診断をつけて、こんなにも大規模に薬剤を投与するなど、一種の巨大な社会実験です。

実験の結果が、数十年後にどう出るかは誰にもわかりません。何しろ、最近になって始まったばかりだからです。

したがって、その子が60歳、70歳の高齢者になったときに、どのような副作用が生じるのかを示す研究データは存在しません。こんな状況で薬を与え続けることは、重大な倫理的問題をはらみます。リスクがわからないものを安易に処方したくはないし、すべきでもないと私は思います。

むしろ、今すぐにでも実践できることに取り組み、障害の負の影響を少しでも軽くすることに力を注ぎたいのです。それは規則正しい生活の重要性を伝えることであり、それこそが子どものこころを知る専門医に求められる役割ではないかと考えます。

精神科医から一言:子どもの発達障害の治療に薬を安易に使用すべきではない。子どもに試行錯誤の経験をさせ、成長を見守ることこそ必要。生活習慣の改善で症状が軽減するケースも多い。