「養子」推進論者の苛立ち
養子策を推進してきた竹田氏も先ごろ、別の角度から養子に手を挙げることの難しさを際立たせる発言を、YouTubeでしている(竹田恒泰ch公式切り抜きチャンネル8月23日配信)。
「旧宮家全員が『おれ関係ねえ』ってやったらホントに皇室滅びますからね。だから、旧宮家の面々は、自らの責任をね、感じるべきだと思いますよ。……
もうちょっと、あんたらも、自分のやらなきゃいけないこと気付けよ、って話なんですよ」
竹田氏は、旧宮家系子孫から自発的に養子に手を挙げる気配がないことに苛立っている。「お前らふざけんなよ、って話ですよ」と八つ当たりしている。
旧宮家系子孫の内情にそれなりに詳しいはずの竹田氏がこの様子では、養子制度は「最低でも4人」どころか、スタートの時点でつまずいてしまいそうだ。
養子制度“空振り”の先に見えるもの
率直に言って、皇室からも国民からも歓迎されない養子には、誰も手を挙げない方がむしろ自然であり、健全だ。
養子制度が“空振り”に終わるとどうなるか。皇族との法的な親子関係すらなく、旧宮家系民間男性が単独で皇籍を取得する方策は、政府有識者会議でさえ「国民の理解と支持の観点からは……(養子制度と比べても)より困難」と報告していた(令和3年[2021年]12月)。養子策がダメなら男系論者の手持ちカードは失われる。
皇室典範改正時の国会での附帯決議には以下のようにあった。
これが次の課題になる。
安定的な皇位継承確保策とは何か。
一夫一婦制で少子化なのに伝統でもない男系男子限定という、皇室典範が抱える構造的な欠陥を解消すること。皇室典範を「再改正」して、政府・国会がこれまでひたすら先送りし続けてきた女性天皇、女系天皇を可能にすること(第1条「皇統に属する男系の男子」→「皇統に属する子孫」へ)以外ありえない。
女性天皇が可能になれば「直系長子」最優先ルール(皇室典範第2条)が歪みなく敬宮殿下に適用される。
皇室も国民も共に望む「愛子天皇」への道がそこから拓ける。
1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録」