愛子さまがフェルメール展を訪れた意義

愛子内親王は、絵にちなんだ真珠のイヤリングを身に着けていた。そして、作品と同じ青いターバンを巻いた特大のミッフィー人形と並んで写真に納まった。ミッフィーは、オランダでは「ナインチェ・プラウス」、通称「ナインチェ」と呼ばれている。この絵画を所蔵するハーグ市の側も、市長らの代表団が愛子内親王を迎えている。

オランダには、ニュースを各メディアに配信するオランダ通信社(ANP)があり、同通信社は「愛子内親王、大阪で『真珠の耳飾りの少女』とナインチェに対面」と報じ、その配信記事は、オランダの複数のメディアに掲載された。

6月の天皇皇后によるオランダ訪問は、重要なものだった。オランダとは戦争中の不幸な出来事があり、以前は友好的な関係が成立していなかったからだ。天皇家は、今の上皇からその改善に腐心し、今回の訪問はその総仕上げの面を持っていた。6月17日の晩餐会で天皇は、約18分にわたり、戦争の歴史と平和への願いを英語でスピーチしている。

さらに、それと連動する流れで愛子内親王が「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞することで、その友好関係が未来に受け継がれていくことが、内外に印象づけられた。

そこに今回の意義があり、だからこそ、大阪訪問が組み込まれたのではないか。

内外で高まる「愛子天皇」待望論

注目されるのは、「All Things Amalia」というサイトの記事である。Amaliaとは、オランダにおける次の王位継承者であるアマリア王女のことで、「アマリア王女についてすべてのこと」と題されたこの民間サイトは、彼女を中心としたオランダの王室情報を発信している。

オランダ国王ウィレム・アレクサンダーの長女で、王位継承者のカタリナ=アマリア王女(2024年)
オランダ国王ウィレム・アレクサンダーの長女で、王位継承者のカタリナ=アマリア王女(2024年)(写真=Richard Broekhuijzen/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

カタリナ=アマリア王女は現在22歳で、24歳の愛子内親王とは年齢的に近い。その記事では、日本国民の8割前後が女性天皇を容認しているにもかかわらず、愛子内親王に皇位継承の資格が与えられないことも伝えられた。

アマリア王女は王位を継承するのに、なぜ、天皇の直系の愛子内親王にはその道が封じられているのか。オランダ国民も、それに疑問を持つはずである。愛子内親王が天皇家の中心として活動を展開し、とくに海外と交流すれば、こうした記事が海外のメディアに登場する。その記事は、日本でも紹介されることになる。

天皇一家が、そうしたメディアの対応をどこまで意識しているかはわからない。しかし、それによって「愛子天皇」待望論がさらに高まるのは間違いない。

「愛子天皇」を実現させたいという天皇家の方針が一貫していれば、その道はいつか必ず開かれる。フェルメールが描いた少女は、そこに至るまでの道のりを、遠くからじっと見つめている。

島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。