秋篠宮さま「その方向でよい」

小泉内閣(平成17年[2005年])で女性天皇、女系天皇を可能にする皇室典範の改正が目指された時の、天皇陛下のご覚悟が伝わっている。

「天皇陛下は直系継承の安定に資する(女性・女系容認という)方策に理解を示された上で『慎重に進めてほしい』と望まれた。性別に限らず長子優先の皇位継承が認められれば、長女愛子さまがいずれ即位される。『その未来を見据えたお言葉だ』と元(宮内庁)幹部は感じとった」(「読売新聞」前掲)という。一方、秋篠宮殿下も「天皇家を支えるお立場で『その方向でよい』と賛同された」(同)。

皇室の精神、気風を受け継ぐために、親から子への「直系継承」はとりわけ大切な原則だ。ジェンダー平等を重んじられる秋篠宮殿下が、天皇皇后両陛下にお子さまがいらっしゃるのに“女性だから”という理由だけで、側室なくしては持続困難な男系男子限定ルールによって皇位継承のラインから除外される今の制度に、違和感をもたれないとは考えにくい。

皇室典範“再改正”により「愛子天皇」へ

ほかの皇族方についても、常陸宮殿下は上皇陛下のお考えと一致しておられることが伝わる。寛仁親王妃の信子殿下は、令和4年(2022年)の歌会始で敬宮殿下のことを「姿まぶしむ(お姿をまぶしく拝見する)」とお詠みになり、「(敬宮殿下が)ご幼少時より深い敬意と愛情を持って見守って」こられた事実が明らかになった。高円宮家の久子妃殿下も、令和5年(2025年)2月8日の東京アメリカンクラブでの英語の講演で、司会者の質問にお答えになって、女性天皇の可能性に好意的に触れておられた。

皇室におかれては、「愛子天皇」に向けた合意が早くから、ほぼ整っているようだ。

率直に言って、旧宮家系の民間人養子は皇室からも国民からも歓迎されない。そんな中で、対象となる賀陽かや家・久邇くに家・東久邇家・竹田家から、自発的に名乗り出る人物が果たして現れるか。

典範改正への評価は予想以上に低い。政界でもメディアでも、早々と「再改正」が話題になっている。

再改正の焦点はもちろん、構造的欠陥である男系男子の縛り(第1条)を解除すること。それが実現すれば、現在の「直系長子」最優先ルール(第2条)によって次代は「愛子天皇」で確定する。

皇室の方々のお気持ちをないがしろにし、民意にそむいて、高市政権が拙速・乱暴に進めた典範“改悪”は、むしろ反発を強め、逆転への気運を高めたのではないか。

高森 明勅(たかもり・あきのり)
神道学者、皇室研究者

1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録