ブタやジビエのE型肝炎ウイルス
一方、E型肝炎は、日本ではブタ以外にも、イノシシやシカなどの生肉または加熱が不十分な肉から感染し、妊婦さんや基礎疾患のある人では重症化することがあります。海外ではウサギもE型肝炎ウイルスの感染源として知られています。
このE型肝炎ウイルスは加熱によって感染性を失いますが、冷凍しても安全にはなりません。冷凍したシカ肉の生食によるE型肝炎も報告されているので、必ず中心まで十分に加熱して食べましょう。
一方、生肉として比較的なじみのある馬刺しはどうでしょうか。馬刺しではサルコシスティス・フェアリーという寄生虫による食中毒が知られています。ただし、この寄生虫は一定条件での冷凍によって死滅するため、国は生食用馬肉について冷凍処理を食中毒防止策として示しています。つまり、「冷凍すればどんな生肉でも安全」なのではなく、肉の種類や病原体によって事情が異なるのです。
怪しいものを食べないことが大事
夏はキャンプやバーベキュー、帰省先や旅先などでの外食が多い時期です。「天然のジビエだから安全」「とれたて捌きたてで新鮮だから問題ない」といった言葉や話題性に惑わされず、「肉はしっかり火を通して安全に食べる」という基本をぜひ徹底しましょう。
生もしくは加熱不十分としか思えない肉を提供されたら、再度加熱してもらえるようお願いしたり、場合によっては食べないで残してもいいと思います。「人が勧めてくれたのだから食べなくては」と思ったり、「残しては申し訳ない」などと思うこともあるかもしれませんが、身を守ることを優先してください。特に子どもや妊婦さん、高齢者、抵抗力の弱い人は要注意です。食中毒になってから後悔しても遅いのです。
もちろん、「自分は胃腸が強いから大丈夫」「今まであたったことないから気にしない」と自己責任で食べている大人もたくさんいるでしょう。でも、食中毒は、誰がいつなるかわかりません。おなかが痛くなるだけで済むとは限らず、命を失うリスクもあることを忘れないでください。


