進歩を素直に喜んでいい
何かをやり遂げるために強い意志は必要ですが、それは柔軟なものにしておくことをオススメします。意志が強い人には、ときとして思い込みの強さも見受けられ、それが足を引っ張ることもあるからです。
「毎日走らなくてはならない!」
とかく、意志の強い人は決めつけてしまいがちです。だから、走ることができなかった自分が許せなかったり、たった一日走らなかっただけで、それまでのすべてが意味のないことのように思えてしまったりと、極端な評価に陥ることになります。
1日走るだけだって、30分走るだけだって、まったく走らなかったときより確実に進歩しています。だから、素直に進歩を喜べばいいのです。
人間科学という学問の分野では、人をその行動傾向から、「タイプA」「タイプB」などと分けることがあります。タイプAはせっかちで完璧主義で、まさに意志が強い。対して、タイプBは競争を好まないのび太のようなのんびり屋さんです。
ちなみに、タイプAはタイプBに比べて、心筋梗塞にかかる率が2倍になるとも報告されています。強すぎる意志は身を滅ぼすと言っても、いいかもしれません。
(参考:Association of specific overt behavior pattern with blood and cardiovascular findings)
意志はほどほどに、“のんびり”なのび太を見ならって
というわけで、自分が意志の強いタイプAだと思ったら、意識的にタイプBの人間とつき合ってみることをオススメします。のび太の行動をまねしてみるのもいいと思います。
最初は、進展が遅すぎるように感じてイライラすることでしょう。でもやがて、「絶対にやらなくてはならない」と思い込んでいたことが、やらなかったからといってどうということはなかったのだと、気づくことも多いはずです。
もちろん、意志が強いのはいいことです。強すぎに注意、ということです。人生は、楽しんでなんぼ。意志の強さもほどほどのところで留めておいて、もうちょっと、のび太ののんびりした部分を見ならっていきましょう。
1942年岐阜県生まれ。1976年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。フルブライト交換留学生(ペンシルベニア州立大学)。富山大学人間発達科学部名誉教授。生涯スポーツ論専攻。教育学博士。ドラえもんアナリスト。登場人物が夢や悩みにどのように対応し、解決したかを考え、人生を豊かにする方法を模索する「ドラえもん学」を研究。主な著書に『「のび太」という生きかた』『「のび太」が教えてくれたこと』『「スネ夫」という生きかた』(アスコム)がある。
