コンロより掃除やお手入れも簡単
高橋さんは、「グリルパンは必ず付属品を使ってください。市販品には塗装の耐熱温度が低い場合があって、加熱中に気化し庫内が真っ赤になったケースがあります」と話す。何しろ、電気オーブンでハンバーグを焼く一般的な設定温度は、250度前後だ。アラジンのグリルパン内部の320度/330度が、いかに高温かがわかる。
アラジンのオーブントースターは、焼き網を持ち上げれば手が届きにくい扉周りの掃除もでき、グリルパンも食材が焦げつきにくい。焼く際も安心だが、お手入れもラクだ。ただ、グラファイトヒータはガラス製の筒に入っているため、触ると割れる恐れがある。「汚れがこびりついていても触らず、調理の際に焼き切ってください」と高橋さん。
整理すると、アラジンの高性能トースターは、多彩な加熱調理がほったらかしででき、失敗しにくく、使った道具類のお手入れもラク。料理するのも面倒に感じるときでも、これなら何とかなりそうに思える人はいるのではないか。
コンロキャンセルが向いている人
このほか、電気鍋やノンフライヤーなども、21世紀に生まれた高性能で調理がラクな調理家電である。便利な調理家電のバリエーションが増えたからこそ、コンロキャンセルは可能になったと言える。改めてコンロキャンセルの魅力を整理してみよう。
1,酷暑の中、火の前に立って調理しなくて済む。
2,コンロ周りに油が飛び散る心配がないので、掃除の中でも特に手間がかかるコンロ周りを汚さずに済む。
3,タイマーを設定しておけばその場を離れることができるので、他の作業ができる。時間がかかる調理なら、洗濯機を使うときのように、他の部屋へ行っていることもできるなど、タイパの良さも魅力的だ。
4,料理経験が浅い人や、苦手意識を持つ人でも、手順を間違えなければほぼ失敗なくおいしく調理できる。
では、どんな人に調理家電を使ったコンロキャンセルが向いているのか。
1,自分の台所を持ったばかりの初心者、夏休みに子どもに調理体験をさせたい人、主な台所の担い手が出かけているときに、ふだん料理しない他の家族に調理家電を使った食事の支度を任せたい人。
2,料理が好きな人。手料理でもてなす機会が多い人。何種類もの料理を同時並行して作る際、「3口コンロでも足りない」としばしば感じている人はいる。そんなとき、4口目のコンロの代わりに、調理家電を使うことができる。2口コンロや1口コンロしかないので不満を感じていた、という人にもおすすめしたい。
3,料理は好きだが、お手入れは苦手という人が多い。コンロの後始末を考えたら、料理したくなくなる人にも、汚れる範囲が激減する自動調理はおすすめである。
整理してみると、夏にコンロの前に立ちたくない人たちが、それでも自分で調理する楽しみを、近年の進化した調理家電は提供してくれると言える。もしかすると、これまで「料理は苦手」と台所に近づかなかった家族が、「これなら簡単」と新たに料理を始めるかもしれない。
新しい高性能な調理家電は、多様な方向に開かれた料理の可能性を感じさせてくれる。
1968年生まれ。兵庫県出身。くらし文化研究所主宰。食のトレンドと生活史、ジェンダー、写真などのジャンルで執筆。著書に『母と娘はなぜ対立するのか』『昭和育ちのおいしい記憶』『昭和の洋食 平成のカフェ飯』『「和食」って何?』(以上、筑摩書房)、『小林カツ代と栗原はるみ』『料理は女の義務ですか』(以上、新潮社)、『パクチーとアジア飯』(中央公論新社)、『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』(NHK出版)、『平成・令和食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)、『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』(幻冬舎)などがある。