学習環境は向上も、学力は上がらない

学びの環境と学力については、さまざまな要因が考えられます。

スマートフォンの普及により、毎日、画面の前で過ごし、SNSやゲーム、動画に触れることで、学習に割く時間や能力を奪っているという指摘もあります。

ほかにも、入試形態の変化も挙げられます。知識を問う問題が主体でしたが、最近は「思考力、表現力、問題解決力」などを重視する、より実戦的な問題へと移行しています。

これらの原因が重なって、便利に学べている環境になっているはずなのに、学力の向上が数値として表れていないのではないか、といわれているのです。

植物に水をやりすぎると根腐れして枯れる

私は学力低下の要因を、「与えすぎ」の問題だと思っています。

植物に水をやりすぎると、かえって枯れてしまうように、今の子どもたちに大人が「情報」や「答え」を与えすぎているのではないでしょうか。よかれと思って与え続けた行為が、子どもの思考力や探究心の芽を弱らせているのだと感じています。

昔の参考書と今の参考書を比べてみると、わかりやすいです。

【図表】昔の参考書と今の参考書

かつての参考書は情報が少なく、自分で調べて書き足したり、理解できない場合はほかの資料を見て、理解できるように自分で語呂合わせをしたりして工夫していました。

一方、今の参考書は非常に多くの情報が載っています。

英単語帳一冊でも、昔は書かれていなかったような類義語や反対語、覚え方のコツ、例文、発音まで、すべてが網羅された完璧な参考書が増えています。

自分で調べて、自分の理解をカバーするための補足情報を書き込む必要がありません。すでに重要なところには線が引かれていて、自分でマークをつけることすら少なくなっています。