※本稿は、西岡壱誠『子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令)の一部を再編集したものです。
便利すぎてバカに? 今どきの「過保護学習」
私たちは今、かつてないほど豊かな情報環境に生きています。スマートフォン一つあれば、知りたいことの大半は瞬時に手に入る環境です。AIによる自動解説、動画学習、暗記アプリ、オンライン家庭教師など、教育サービスの進化は目覚ましく、「学びの格差」が急速に解消されつつあるようにも見えます。
かつては、都市部と地方、進学校とそうでない学校、家庭の経済状況などによって、受けられる教育には大きな差がありました。
都市部では、頻繁に模試が受けられ、塾や予備校も豊富にあり、進学校には受験に強い先生や大学進学の情報がそろっていました。一方、地方や過疎地では、教材や情報が限られ、近くに塾もなく、経済的な理由で通えない家庭も多くあったのです。
教育における「スタートライン」は、今よりずっと不均等だった……。子どもたちの学習環境は、ここ数十年で劇的に改善されています。
教材はフルカラーで図解豊富で、わかりやすい解説がつき、解けなければ動画を見ればいいといった整った学習環境です。昔とは比べ物にならないほど、参考書の種類が増えていて、スタディサプリのような授業動画も充実しています。
昔の中高生のほうが、学力が高かった
では、いきなりですが、問題です。
どうでしょうか?
正解は、「昔の中高生のほうが、学力が高かったのではないか」です。
経済協力開発機構(OECD)が実施する「国際学習到達度調査(PISA)」によると、15歳の学生を対象に行われ、日本の読解力の平均スコアは2000年には522でしたが、2022年には516点まで減少しています。
数学リテラシーに関しても、2000年の557点から、2003年には534点に急落し、そのあとも2018年には527点、2022年には536点と低空飛行が続いています。
模試の結果や学習状況の調査でも昔と今を比べると、同様の傾向が確認され、全体的に学力向上が停滞、あるいは低下傾向にあると考えられています。
当たり前の話ですが、これは「どこをきり取るか」の問題はあります。科目や調査対象によって大きく結果が変わるのは当然ですから、一概に「今の学生のほうが賢くない」と断言することはできません。
ただし、全体的な傾向として、今の学生のほうが学力的に落ちている面があるのは事実です。


