“Japan as No.1”は過去のもの

日本がこれまで歩んできた歴史についても触れておきます。

日本はかつて、世界でも豊かな国として、経済や技術の分野で強い影響力を持っていました。特に1980年代、日本経済は急成長し世界第2位の経済大国として、国民の生活水準は大きく向上しました。この時期、日本は世界中から注目を浴び、日本製の製品は品質が高く、信頼されていました。

当時の東京・銀座には高級外車やブランド店が並び、土地の価格はニューヨーク・マンハッタンの数倍。多くの人がソニーのウォークマンを携え、パナソニックの家電が家庭を彩り、トヨタの車は欧米市場で絶賛されていました。ニュースは連日、日本企業の海外進出や世界的受賞の話題であふれていたのです。

しかしいま、中国やインドなどの国々が経済的に台頭し、日本の経済成長は鈍化しています。では、具体的にどんな違いがあるのでしょうか。

日本と世界との賃金格差

日本では、実質賃金(物価を考慮した賃金)は長年ほぼ横ばいの状態です。2026年のデータによると、アメリカ・ワシントン州の最低賃金は17.13ドル(約2,700円)で、東京の最低賃金の約2.2倍。さらに、カリフォルニア州にあるシリコンバレーなどのテクノロジー業界で働くエンジニアの初任給は3,000万円を超えることもあり、日本の大手企業の初任給の約10倍にもあたります。

例えば、東京都内の最低賃金は1,226円(2026年現在)ですが、同じ時間働くと、ワシントン州では約2,700円。1日8時間・月20日勤務とすると、日本では約19.6万円、アメリカでは約43.2万円になります。年間で計算すれば、その差は約283万円。税制や福利厚生の違いも加われば、生涯収入では数千万円単位の差に広がります。

さらに、シリコンバレーの初任給が3,000万円を超えるということは、学生が技術職やエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる際、とても高い給与を得られる可能性があることを意味します。生活費の違いを差し引いても、この差は、将来の生活水準に大きな影響を与える可能性があるのです。

【図表1】各国のGDPと初任給の比較表
図表=『海外大学進学大全』(実務教育出版)より