エネルギーの転換期を迎えた今、再生可能エネルギーが注目されている。これから、日本の再エネ産業はどう変貌していくのか──。エネルギー戦略研究所の山家公雄所長に、世界の状況や日本の競争力などを聞いた。

「2度シナリオ」の目標を
達成してきた再エネ

──世界のエネルギー資源の消費傾向について、お聞かせください。

【山家】EIA(米国エネルギー省エネルギー情報局)は約30年後の2040年、原油を中心とする液体燃料(バイオ燃料を含む)が最大のエネルギー源であり、次いで石炭、天然ガス、再生可能エネルギー、原子力になると予測しています。この順番は現在も同じですが、液体燃料などが減少しているのに対して、再生可能エネルギーの伸び率は一番高くなっています(グラフ参照)。

再エネの普及と深くかかわっているのが「2度シナリオ」(産業革命以前からの気温上昇を2度以内に抑えるシナリオ。09年のCOP15で合意された)です。気温上昇を2度に抑えることは非常に困難と考えられていますが、人間は一度目標を立てれば、そこに向かって制度を整え、テクノロジーを磨いて、なんとかクリアしようとします。

IEA(国際エネルギー機関)は、再生可能エネルギー発電量の推移の見通しを公表。水力をベースに太陽光、風力などの再エネは、これまで常に予想を大きく上回る導入量を示してきている。再エネに関しては、少なくとも20年までには「2度シナリオ」を達成できる、と予測しています。

──日本の場合はどうでしょう。

【山家】資源エネルギー庁は、13年9月時点では、30年には国内の再生可能エネルギーの発電電力量が、トータルで10年の約3倍になると予測しています。その内訳は、水力が現在の1.4倍、太陽光が17.5倍、風力15.5倍、地熱8.4倍、その他バイオエネルギーが2.5倍。国境を越えて、再エネは今後確実に増えていきます。