EDを招く恐れもある
活性酸素は万病のもと

テストステロンは通常、残念ながら加齢に伴い減少傾向をたどる。さらに、精神的なストレスもそれを助長する。

「東京で働く男性たちを調べたところ、40~50代のテストステロン値が60代よりも少なかったのです。これには私も驚きました」

働き盛りであることが、かえって災いしているのかもしれない。気がかりなのは、テストステロンが減ると何が起こるかだ。冒険心や社会性といった、いわば「社会的な元気」は減退し、そして──。

「最近『男性更年期障害』という言葉を耳にすると思いますが、女性の更年期障害と同様の症状が出ることがあります。イライラや抑うつ感、不眠、疲労感、ほてり、めまいなどのほか、男性の場合、ED(勃起障害)が起こることもあります。朝の勃起現象が減ったり消失したりするのも目安です」

テストステロンが減ると体内の活性酸素が増えやすくなる点にも要注意である。「活性酸素はカラダを錆びさせる」と堀江先生。つまり高血圧(動脈硬化が進む)、糖尿病(インスリンの効果が減る)、うつ病(神経伝達物質の流れが悪くなる)、排尿障害(膀胱が硬くなる)といった病気を引き起こすのだ。活性酸素がDNAを傷つけ、がんの原因となる恐れもある。

EDにも再び注目しなければならない。活性酸素は動脈硬化を招く。それが高血圧にもつながるわけだが、動脈硬化はEDとも因果関係があるのだ。

「陰茎動脈が硬化して血流が十分でなくなることによりEDが起こるのです。動脈硬化は全身で進行していきますが、陰茎動脈は特に細いため早い段階でEDという症状が現れます」

ゆえに「EDは神様がくれる健康サイン」とも堀江先生はいう。より太い動脈の硬化が進めば、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも出てくる。またEDに続いて高血圧、糖尿病、うつ病、排尿障害などが顕在化しないとも限らない。

「たとえEDを自覚してもガッカリせず、生活習慣を振り返り、検査や治療を受ける良い機会だと思えばいい。ぜひとも前向きにとらえてください」

実は男性の血管機能(血管のしなやかさ)は女性より早く低下し始めることも判明している。女性の血管の曲がり角は平均53歳。対して男性は、なんと41歳。やはり男性の40代は、健康をかえりみるべき時期なのだ。