避けるべきは「考えないクセ」をつけてしまうこと
AIは「便利な道具」であると同時に「思考の過程をパス(ショートカット)できる道具」でもあります。
考える前に答えが出てしまう。考えなくても、それなりの形が整ってしまう。文章も、要約も、アイデアも、かなりの完成度で返ってきます。便利であることは、間違いありません。
ここで問題となるのは、「AIを使うと考えなくなる」という、目の前に起こる現象だけの話ではない、という点です。実は、考えなくなることが習慣化した先に、もっと恐ろしい話が待っています。
認知オフロードという、人間の「賢い」やり方
皆さんは、「認知オフロード(cognitive offloading)」という言葉を聞いたことがありますか?認知オフロードとは、本来は頭の中で処理するはずの記憶や注意、計画を、メモやリマインダー、道具、環境に預けることで、認知の負荷を下げる行為を指します。
私たちは今、かつてないほどの情報に囲まれて生きています。覚えなければならないことは多く、やるべきことは同時並行で増え続けています。
スケジュールひとつをとってもそうです。仕事、家庭、学校、地域の予定。すべてを頭の中だけで管理し続けるのは、正直かなり厳しい時代です。だからこそ、
・カレンダーに予定をれる
・スマホのアラームを設定する
・道に迷わないように地図を見る
をはじめとする道具を賢く使うことは必須です。ここで紹介したカレンダーやアラーム、地図の活用はすべて、認知オフロードです。
認知オフロード自体は、決して悪いものではありません。むしろ、人間は昔から、道具を使って考える負荷を減らし、その分、別のことに頭を使ってきました。
紙にメモをすることも、計算機を使うことも、広い意味では認知オフロードです。
翻訳ソフトを使って、海外の人とコミュニケーションをとったり、外国でGoogleレンズを使ってショッピングや観光をしたりするのも、認知オフロードといえます。
「外国語を学び、身につける」という部分をショートカットしているというわけです。
こうしたアプリのおかげで、私も海外に行って楽しんだり学んだりできるようになりました。そして今は、直接会話がしたい、ちょっとだけ語学を学んでみようかなという気持ちになっています。
外国語がわからなくても海外に行けて、海外に行ったことで外国語を学びたくなる。
こういうことがあるという点でも、認知オフロードはやはりいい方法だといえるでしょう。

