本人に自覚させることがスマホ依存脱出のカギ

高橋暁子『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)
高橋暁子『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)

それは、本人が不本意な失敗をして、その原因を自覚できたからです。「YouTubeを観ながらでも勉強はできる」と本気で信じていたけれど、できないということがわかったのでしょう。

もう一つは、本人が「自分で決めて、端末を預ける」提案をしたということです。私は取り上げたのではなく、その協力をしただけです。反対に、保護者だけが問題と思っている場合、先回りして制限することがありますが、当人が問題に思っていない場合は、ただ「親に取り上げられた」と思うだけです。

この年代の子どもは特に、親が無理矢理押し付けても、反抗して逆に言うことを聞きません。私が無理矢理取り上げていたら、こっそり観ようとして、逆に集中できなくなっていた可能性もあります。

本人が「YouTubeの視聴をやめたい」とか「端末を預けるべき」と思っていないのに、制限したり取り上げたりしても、子どもはなんとかして抜け道を見つけ出します。制限機能で制限をかけるだけでは成功せず、子どもが制限を破ってしまうのは、本人が制限するべきだと思っていないからです。