なぜ日本人は、中高6年間、英語の勉強をしているのに英語を話せない人が多いのか。15万部を超えるベストセラー『英語ピクト図鑑』(プレジデント社)の著者マーク氏と、偏差値35から東大合格を果たした教育コンサルタントの西岡壱誠氏は、日本の英語教育で英文法が軽視されていると指摘する――。

英語は「文法」から身につけるべき

【マーク】私はずいぶん前から、「英語の勉強をやり直すなら、中学レベルの基礎英文法から始めるべき」と提唱しています。西岡さんもご著書の中で、「英文法」を身につける大切さについて触れていましたが、やはり英語力のアップに必須なものだとお考えでしょうか。

【西岡】日本語と英語はほぼ共通点がない言語です。語順も違いますし、日本語には英語の5文型のようなものがありません。共通点は月、火、水……と曜日が天体名になっていることぐらい、と言われるほど異なる言語ですから、文法を勉強しないとダメなんです。

僕はこれまでに、東大受験生を含む多くの生徒を見たり教えたりしてきたのですが、おもしろいことに、なかには英文法をしっかり学ばずとも「ノリ」でできてしまう人もいるんです。

そういう人は、英単語の意味や関係でだいたいの文章の流れが類推できたりする。でも、少なくとも僕には英文法の勉強が必要でしたし、基本的にはやらなければならないものだと思っています。

【マーク】そういう人も一定数いますよね。私も、30代になってから中学レベルの基礎英文法を学び直したおかげで英語が得意になれた人間です。

もともと私は英会話スクールに通ってネイティブに習うのが英語力アップのいちばんの近道だと思っていた「ネイティブ信者」だったんです。ところが、2年間通ったものの、一向にしゃべれるようにならず、肝心のTOEICの点数も伸び悩んでいました。

そんなときに、日本人の講師が教えてくれるスクールに通って、日本語で英文法を教えてもらったんです。すると、「時制」や「be動詞」「品詞の機能」などそれまであやふやだったことが一気にクリアになって、どんどん英語への理解が深まっていきました。英文法を学び直すことで、一気に突破口が開けたんです。

英文法を学び直してから中学英語の参考書を読み直してみるとスッと頭に入ってきて、長い英文も読めるようになってきた。「これはすごい!」と思って、「英語は文法から身につけるべき」というテーマでX(旧ツイッター)の発信を始めました。

英文法から学び直せばTOEICの点数を伸ばせるようになるし、カタコトでも英語を話せるようになる、ということを世に広めたかったんです。

自分の認知特性によって最適な学習法は異なる

【西岡】私が専門家に話を聞きながら研究している分野に、認知特性というものがあります。人間は情報を理解する際に目で見て視覚的に覚えるのが得意な「視覚優位」、耳で聞いて聴覚で覚えるのが得意な「聴覚優位」、言葉で言語的に覚えるのが得意な「言語優位」という3つのタイプに分かれると言われています。

僕はリスニングもなかなか聞き取れなかったし、目で見て理解するのもあまり合いませんでした。それは僕が、言語のほうが理解しやすい言語優位のタイプだったからです。

話をうかがっていて、僕とマークさんはとても似たタイプだと感じました。

【マーク】西岡さんのご著書を読んで「これ、わかる!」と共感することが多いのも、それが理由かもしれません。

私の周りにも、文法の勉強をほったらかしでも私より流暢にしゃべれる人がいますが、よくよく聞いてみるとちゃんと文法を理解しているんです。認知特性が視覚なのか、聴覚なのかはわかりませんが、座学とは違うアプローチで習得したのかもしれません。

いずれにしても、文法という基礎を固めないと、やはり英語力は身につかないと私は思っています。

英語のノート
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