“野菜を隠した料理”は逆に警戒されてしまう
宮里先生が相談を受けたある母親は、子どもがニンジンを食べないことに悩んでいた。20種類以上の料理をつくったが一切手を付けようとしない。ハンバーグに野菜を練り込んでもダメだった。我が家でもハンバーグに細かくカットした野菜を入れた経験がある。しかしKはほとんど口を付けなかった。
「野菜を料理に練り込む親御さんは多いんですけど、あまりお勧めはできません。うまくいけばいいんですけど、野菜が入っていることに気がつくと子どもが警戒して、ますます嫌ってしまう恐れがあるからです。それよりも、畑などに行ったときに目の前でキュウリなどをとってあげて塩や味噌をつけて出す。そんな体験がきっかけになり、野菜が好きになったという話はよく聞きますね」
重要なのは、きっかけづくり。そう指摘した宮里先生は、すぐに実践できる方法を教えてくれた。
「子どもを調理にかかわらせるととたんに食べるようになります。お皿を並べてもらったり、野菜をちぎってもらったり……それだけでも食べ物に対する興味は違ってきますよね」
“自分で料理をつくった”経験を積ませるといい
Kは朝食もあまり進まない。だが、たまに妻が「卵をコンコンして、まぜまぜしよう」と声をかけると、Kはキッチンに急ぐ。母親と一緒に卵を割り、ボールでかき混ぜてつくった卵焼きなら、朝でもよく食べる。
なるほど。自分で「つくった」という実感が、食べるという行為につながっていたのか。だから、卵焼きがKの好物になったのかもしれない。近々、野菜で応用してみよう。
「あと気になるのは……」と宮里先生は、さらなる問いを投げかけた。「食事は家族一緒に召し上がっているのですか?」
我が家の夕食は、だいたい19時30分頃。私と妻、そしてKの3人で食卓を囲む。ただし、10分も大人しく座っていればいい方で、「『デンシャ』(KはYouTubeを『デンシャ』という)、見たい」と椅子を降りようしたり、「ママ、(食べる)お手伝いして」と母親の膝の上に座ろうとしたりする。
「あっ、それ、うちも同じです」
口を挟まずにはいられなかったのだろう。同席していた編集者のTくんも思わずといった様子で共感を示し、切り出した。本連載の担当を引き受けてくれたTくんも、3歳と1歳の娘を持つ悩み多き父親だ。
「途中で飽きてしまうのか。親の力を借りようとするんです。途中から親が、スプーンで口元まで持っていかないと食べてくれません」




