飲み会参加で圧倒的に多いのがシングル家庭

わたしはさらに疑問を抱いた。深夜まで同じ保育園にわが子を託す親たちが集まって、そんなに場が盛り上がるような話題があるのだろうか。

「どういう話がメインかは知りませんが、子どもたちが教えてくれるのは園の悪口です。たとえば、『春までの○○先生はベテランで安心できたけれど、いまの○○先生は若くて頼りない』なんて親同士で話している。それを子どもたちがこちらに伝えてくるのですが、そういう会話によって園児たちが変に『感化』されてしまうことがあります。悪口の対象になった先生の言うことを素直に聞けなくなってしまうとか……。こちらとしては、それによって園児たちの扱いに困ってしまうことがあるのです」

その居酒屋には両親が揃って出かけているのだろうか。

園長曰く、飲み会に夫婦で参加するところもあるが、圧倒的に多いのはシングル家庭らしい。なるほど、仕事に子育てに普段から忙しく、パートナーにその愚痴をぶつけることもできないし、そういう鬱屈した気分を発散する場なのかもしれない……。

そんなふうに考え込むわたしに園長はことばを継いだ。

「まあ、仕事で疲れていて、憂さをどこかで晴らしたいという思いはよく理解できるのです。それでも、子どもたちの睡眠時間を削るようなことはしてほしくないですね。そういえば、ウチの園は基本的に18時15分までを平常の預かり時間としているのですが、最近は延長を希望するご家庭がぐんと増えましたね。そうすると20時15分まで預かるのですが、その時間になってもなかなかやってこない親が多い。わたしたちの業界ではこのようなときに『早くお子さんを迎えに来てください』と親を急かすのは半ば禁句となっているので、なかなか注意できないでいるのですが」

親が迎えに来ない……これによって保育園のスタッフたちは「残業」しなければならないし大変だろうが、それ以上に気掛かりなのはいつまでたってもやってこない親を待つ子どもたちである。彼ら彼女らはそのときどんな気持ちなのだろう。

積み木で遊ぶ子供
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