“明るく溌剌で、現場が好きな園長”も問題

着目すべき設備以外にも、“意外とこんな保育園は眉唾”というポイントがあるのだという。その知られざる点について、近藤さんに教えてもらった。

「園長が現場に出ずっぱりで、非常に明るく溌剌として……みたいな保育園がありますよね。保護者から好意的に思われがちなのですが、これも懐疑的にみたほうがいいかもしれません。というのは、園長にはマネジメントという重要な業務があるんです。その園長が本来の仕事に十分な時間をかけず、現場に出ているのだとしたら、問題です。また、他の職員も自分の仕事に責任が持てずに他責思考になっていく可能性があります」

説明会などの場で、現場の職員がきちんと責任を果たすプロフェッショナルかどうか、試すことのできる一言があるようだ。

「保育は業務ですから、権限と責任が明確に決まっていないといけません。それがあやふやだと、無責任な職員が増えてしまいます。そんな場所に、大切なお子様を預けられるでしょうか?

もしも保護者説明会などで質問の機会があったら、『この保育園の組織図や役割分掌はどのようになっていますか』と聞いてみるのもよいかもしれません。責任の所在を明らかにして保育に取り組んでいるかどうか、すぐにわかります。現場からは煙たがられるので、“嫌われる保護者”になるかもしれませんが……」

「ヒヤリハットがあったかどうか」あえて聞くといい

また、日常業務についてこんな誘導をしてみるのも効果的なようだ。

「説明会で園長ばかりにしゃべらせるのではなく、現場の保育士に質問するようにするのも良いかと思います。そのなかで『最近のヒヤリハットはありますか?』と聞いてみましょう。日々の保育現場で、ヒヤリハットが全くない、ということはあり得ません。ヒヤリハットが数多く出る保育園は、『そんなに危ないのか?』と思われるかもしれませんが、逆です。それだけ些細なことにも気が付ける文化がある、ということです」

現場の保育士たちも事故をなくすために日々努力をしているが、それがなくなることは「ない」と近藤さんは断じる。今後の保育現場においては、事故をなくす目標も重要である一方で、こんな視点が見過ごされかねないのだという。

「保育現場のミスは子どもの生命という最も尊いものを奪う危険性があり、絶対に起きてはいけないものです。しかしながら、その一つひとつのミスは小さなものだったりするところが、怖いわけです。もう二度と生命を落とすような事故は起きてほしくないと願うと同時に、結果として亡くならないにしても、似たようなミスはこれからもどこかで起きるだろうと私は懸念しています」

急行する救急車
写真=iStock.com/gyro
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