ゲームとネットの役割

不登校に限らず、ゲームやネットは何かと悪者にされます。良くない面があるのは確かです。ですが、子どもたちを見ていると、ゲームやネットに助けられて何とか生きている子が多いとも感じます。例えるなら、海を漂流する子どもが、ワラにもすがる思いで丸太にしがみついているようなイメージです。その丸太を取り上げたところで、溺れる可能性が高まるだけで、解決に繋がりそうな例は少なく感じます。ネットゲーム友達の交流が唯一の交友であったり、SNSの繋がりに支えられていたりする子も多いです。それなのに、ゲームやネットを取り上げてしまうと、数少ない人とのつながりを断つことになったり、親子関係の悪化が決定的となったりし、その子を支援するルートが失われてしまったと感じることもよくあります。

子どもたちに尋ねてみると、「ゲームは楽しい」と答える子もいますが、「あまり面白くない」という子の方が多いです。「何もしてないと気持ちがしんどくなるからする」とか「ゲーム中は嫌な事を考えなくて済むから」などと言います。「SNSで死にたいと書き込むと、わかるよとか、死なないでとか書き込んでくれる人がいてくれたりして、自分は1人じゃないと感じる。この感覚は親や先生たちは分かってくれない」と話す子もいます。

自宅でコンピュータ上でゲームをしている男の子
写真=iStock.com/Milan_Jovic
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親子での雑談を大切に

不登校はその理由が本人にもよくわからないことが対応を難しくさせています。対応の基本は、自分の気持ちに気づいて言葉にする能力を育てることです。思っていることを言葉にする訓練として最も手軽で効果があるのは雑談です。雑談は休める環境作りができているかどうかの指標でもあります。雑談する際のコツは助言を一切しないことです。助言をすると指導になってしまい、雑談ではなくなってしまいます。雑談は不登校対応の基本であると同時に予防法でもあります。それ以前に子育ての基本でもあります。親子の雑談が豊かな家庭では、不登校は起こりにくく、起きたとしてもこじれにくくなります。親がイライラしていたり、不登校を責める雰囲気があると雑談は生まれません。

親との雑談が豊かになると、親の対応に問題があれば、本人が気軽に文句を言えるようになります。なので、親が良かれと思って本人に害を及ぼすことが減ります。私は親を前にして本人に、親への要望や文句はないかを尋ねることを常に行うようにしています。

不登校が受容された後、夜になると親にあれこれ話し相手を求めるようになる子がよくいます。親は眠くて困るのですが、この時期はとても重要です。