「オヤカク」が増加する就職活動の現場業

このように、Z世代が父親とも母親とも心理的距離が近いことの影響は、就職活動の現場にも表れています。

その一つが、ここ数年話題になっている「オヤカク(親確)」の増加です。これは、企業が内定を出す前後に保護者に対して「お子様に就職して頂きたいのですが……」と内定の了承を取るというもの。内定辞退や入社後のトラブルを防ぐための打ち手として取り入れる企業が増えており、マイナビの「2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」によれば「オヤカクを受けた」と答えた保護者は、2018年から2024年の間に17.7%→52.4%にまで増加しています。わずか数年で、過半数が経験する行為となっているのです。

オヤカクの方法は、面談時に確認されたケース、電話連絡、署名・捺印を求める書類の提出など多様です。実はこうした親へのアプローチは1980年代末のバブル期にも見られ、売り手市場のなかで企業が人材の囲い込みに苦心していた様子が記録にも残っています。近年再びこの動きが強まっている背景には、若者の人口減による売り手市場があることは間違いありません。

ガッツポーズをするリクルートスーツを着用した若い女性
写真=iStock.com/byryo
※写真はイメージです

入社式へ招待されるZ世代の親たち

博報堂生活総合研究所『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社新書)
博報堂生活総合研究所『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社新書)

また、実施している企業はまだそこまで多くないとはいえ、就活時に企業が保護者に対して開く説明会(オリエンテーション)、「オヤオリ」も増えているといわれています。前述のマイナビの調査によれば、内定式や入社式への招待の連絡が来た親も、2割近くいるようです。入社式に新入社員の保護者を招待している食品会社では、入社式で新入社員が大切な誰かへ今の思いや気持ちを伝える時間も設けられています。

その様子を取材したテレビ報道では、「お父さん、お母さんへ。今まで育ててくれてありがとう」「お母さんの夢の二世帯住宅を建てることを忘れません。絶対かなえます」といった結婚式さながらのスピーチを新入社員の皆さんがしている様子が放送されました。ちなみにこの企業では入社式後に親を対象とした工場見学も行い、会社を知ってもらう工夫を重ねているそうです。

マイナビの「2024年卒内定者意識調査」では、学生の61.9%が内定の意志決定の際、「父親・母親」に助言や意見を聞いたというデータがあります。これは「学校内の友人(2位で23.9%)」「就職関連の学校職員」「教授」などほかの相談相手を大きく引き離しており、親の影響力が際立つ数字です。