「どうしよう?」から始まる父親とのチャット

現状ではまだまだ母親に比べ影の薄い父親ではありますが、子どもと疎遠だったり仲が悪かったりするわけではありません。むしろ、友好的で近しい関係を築いている様子が見られます。

チャットアプリのやりとりを分析してみると、父親と母親ではコミュニケーションのスタイルが違うようです。母親が「共感」のコミュニケーションだとしたら、父親のコミュニケーションは「課題解決型」。就職活動のための塾に通いたいという大学生の子どもの相談に対して、父親がネット上の口コミを淡々といくつか貼り付け、「こういう意見もあるから、冷静に考えた方がいい」とアドバイスしたり、子どもからの「スマホの新しいケースがほしい」という相談に対して、「ネットで数千円のブランド品は偽物の可能性もあるから、確認した方がいい」と具体的な注意を促す父親もいました。

そのほかにも、「どうしよう?」と子どもが相談するところから始まる課題解決型のやりとりは、父親とのチャットで頻出していました。雑談や恋愛相談などのライトな相談、逆に心身に関する深い悩みについては積極的には父親を巻き込まない傾向がある一方で、「すぐに具体的な答えがほしいときには父親に聞く」という距離感で接しているようです。

「メンター・パパ」であるZ世代の父親

世間には「共感せずに解決法ばかり提示する男性は女性からけむたがられる」といった言説もありますが、子どもたちにとって父親は、今すぐ信頼できる答えがほしいときに頼れる存在のようです。一方で、子どもが自分でも悩みの輪郭がつかめていないような課題の相談相手としては母親の方が求められる機会が多いのかもしれません。

もちろん、すべての父子がこうした関係にとどまるわけではありません。実家を離れて京都に住むMさん(20歳・女性)は、高校の卒業祝いで父親にあるロックバンドのライブに連れていってもらい、そこから一緒にライブに通うようになったといいます。バンドTシャツをお揃いで買うなど、「お父さんと一緒」を楽しんでいます。

また、チャットアプリ上のやりとりを分析すると、ギャンブルやタバコなど、母親にはやや話しにくいような話題についても、父親とはやりとりする姿が見られました。決して父親と子どもに距離があったり不仲だったりするわけではなく、共通の話題さえあれば父親とも変わらず心を開いてコミュニケーションできるということです。

生じた課題に答えを授けて解決するという点ではチューターのようでもある父親も、子どもが頼りにしている存在であることは間違いありません。母親とは役割が違うだけで子どもは父親をしたっており、十分に「メンター・パパ」である――Z世代の幸せ度に貢献しているといっていいでしょう。

スマートフォンでチャットをしている女性の手元
写真=iStock.com/Suwaree Tangbovornpichet
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