人生のアドバイザーとしての説得力

言うまでもありませんが、以前の母親が尊敬に値しなかったというわけではありませんし、子育てに専念する姿も尊いものです。

しかし、自分の進む道やキャリアと重ね合わせやすい存在として、あるいは先を歩んでくれる存在として、今、母親がロールモデルや人生のアドバイザーとしての存在感を発揮しやすくなっているのではないでしょうか。

次の画面は、TOEIC試験についてのチャットアプリ上のやりとりです。

フルタイムで働く母親が点数を上げたことでキャリアが広がったというアドバイスをし、息子が「はい」と応じています。TOEICを受け、それがダイレクトにキャリアに影響したという言葉はこの上なく説得力があります。息子としても、素直に聞くしかないといったところでしょう。

すかさず的確なアドバイスに「ママすご」

また次の画面は、大学の推薦を得るために、娘が母親に自己PRの添削をお願いしているやりとりです。時間を置かず、すらすらと的確に返答する母親に対し、「ママすご」とストレートにリアクションしています。母親に学歴や社会経験があるからこその対応です。

母親が影響を及ぼすのは、進学やキャリアについてだけではありません。私たちがインタビュー調査の中で出会った大学生男子は双子の兄弟で、二人とも母親の影響で剣道に取り組んでいました。お母さんは剣道六段の実力者で地元の剣道コミュニティで指導者としても活躍しています。そんな母がどんな存在か聞いてみると、自分が進む道の前を歩いている「人生の先輩」で、母親の背中を追っている感覚だと答えてくれました。

兄弟ともに大学受験で浪人を経験しており、そのときもお母さんが自分の大学受験の経験をもとにフルサポートしてくれたのが大きかったそうです。東京の大学の受験時にも三人で上京し、合格を一緒に勝ち取ったそうです。

学歴、仕事、地域コミュニティといったさまざまな側面で社会進出を果たした母親は、ただ優しく見守ってくれるだけの存在ではなくなりました。受験や就活、恋愛などの重要な悩みの相談相手として並走し、自身の経験をかして一歩先回りして考え、程よく必要なサポートをしてくれる。そんなメンターとしての役割を果たせるようになっているのです。