欧米トップ校の単位が取れる

「もともとマレーシアは、教育レベルが非常に高いという背景があります。マレーシアはイギリスの統治下にあったことから、教育システムも基本的にイギリス式で、大学はイギリスやオーストラリアのように3年制。大学入学前の1年間は、ファウンデーションコースといわれる大学の授業レベルについていくための英語力や学習スキルを身につけるための準備コースを受講するのが一般的な流れ。マレーシアは東南アジアの一諸国でありながら、基本的にはイギリスの教育システムがベースにあるわけです」(斉藤さん)

マレーシアの計画都市と連邦行政の中心地・プトラジャヤ
写真=iStock.com/Iuliia Serova
マレーシアの計画都市と連邦行政の中心地・プトラジャヤ

「そういった背景的背景の中で、90年代、マレーシア政府は教育改革を行い、マレーシア国内の大学の教育強化だけでなく、欧米のトップクラスの大学を誘致し、マレーシアにいながら本国と同じカリキュラムの授業が受けられて、同じ学位を取得できるようにしました。授業はすべて英語で行われるので学生たちは当然、英語を話しますし、国民全体の英語力も日本に比べ圧倒的に高いです」(斉藤さん)

マレーシアにこういった教育環境があることが、ようやく最近知られてきたのだと、斉藤さんは言う。

「最近は高校で、留学先の提案でマレーシアについて話す進路指導の先生も少なくないようです。学校におすすめされたから、というお問い合わせも多々あります」(斉藤さん)

「東大」と同ランクの大学に編入可能

確かに、世界の大学ランキングを見ると、マレーシアの大学およびマレーシアにキャンパスのある欧米の大学は、日本の名門大学よりも上位に位置していることがわかる。

【図表1】QS世界大学ランキング2026:世界トップの大学
クアクアレリ・シモンズ社「QS世界大学ランキング2026」より筆者作成

「例えば、東大と同ランクの36位のモナッシュ大学は、オーストラリアの名門校です。20年以上前からマレーシアにキャンパスがあり、オーストラリアのキャンパスを卒業しても、マレーシアのキャンパスを卒業しても、同じモナッシュの卒業生と認められる。日吉キャンパスを卒業しても、三田キャンパスを卒業しても慶応義塾大学の卒業生であるのと同じです」(斉藤さん)

この場合、マレーシアのキャンパスで3年間過ごしてもよいし、マレーシアで2年、残りの1年はオーストラリアやイギリスのキャンパスに編入することも可能だ。現地校に短期留学できる制度もある。また410位のサンウェイ大学など、他の大学の学位を取得できるダブルディグリー制度を設けている大学もある。