大学入学の合否は高校の成績のみ
さらに欧米の学位取得を可能にしているマレーシア独自の仕組みが、もう一つある。アメリカ編入プログラム=ADTP(アメリカン・ディグリー・トランスファー・プログラム)だ。
「これはマレーシア国内の限られた大学で行われているプログラムで、基本的に前半2年はマレーシアで学び、後半2年はアメリカの大学に編入し、そこで卒業するという仕組みです。ADTPプログラムで人気なのは、先のランキングで253位のテイラーズ大学。日本でいうと早稲田・慶応と同様の評価を受けていて、マレーシアおよび東南アジアではナンバー1の私立大学です。提携するアメリカの大学は、ざっと100大学以上あり、コロンビア大学、ミシガン大学アナーバーなど名門校も名を連ねています。名門校への編入は、なかなかハードルが高いとはいえ、マレーシア経由なら名門校の学位を取得できる可能性があるのです」(斉藤さん)
アメリカの大学の入学時には、一般的にエッセイが必要になるが、マレーシアの大学入学の合否は、基本的に高校の成績のみ。エッセイに苦手意識の強い日本人にとって、その点もメリットといえるだろう。
アメリカの「3分の1」以下の費用
また、費用が抑えられるのが、海外進学を目指す家庭にとって大きな魅力になっているようだ。
「コロナ禍が明けてから、円安と物価高で、欧米への留学費用が以前の1.3~1.5倍になってきました。アメリカの大学に行こうとすると、学費と生活費で年間600~800万円かかる。4年間で2400~4000万円です。一方、マレーシアは、学費と生活費を合わせても年間150~250万円。3~4年で400~1000万円。アメリカの3分の1以下ですみます。海外の大学に行きたいけれど、経済的な理由で難しいと思っていた高校生がマレーシアだったら行ける、となるわけです」
とはいえ現状、アメリカへの大学に入るには、ビザの問題がある。ADTPプログラムなど、アメリカの大学への編入は、この先も実施されるのだろうか。
テイラーズ大学でADTPコースを選択し、現在2年生の原 旭さんは「今の状況を、多くの学生が不安に感じている」と話す。
ただADTPは、アメリカの大学だけでなく、カナダやイギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの大学にも編入できるため、原さんもアメリカの大学も考えつつ、カナダの大学も視野に入れて動いているそうだ。

