油断した結果「退学」してしまう学生も
林さんにとってマレーシアでの4年間は、人生のターニングポイントになったという。
「大学では2つの専攻分野を同時に主専攻として学べるので、私はマーケティングとデータサイエンスを専攻しました。結果的に、どちらも今の仕事に生かせる基礎的な知識を身につけることができました。またマレーシアは多民族国家で、かつ100カ国以上から留学生が来ているので、コミュニケーション能力も磨かれたかなと思っています。そういうことが、就活の時に自分の強みになりました」(林さん)
しかしながら林さんのようにうまくいく人ばかりでないことも、最後につけ加えておきたい。
まず学業面のハードルだ。
「ファウンデーションコース(1年制)の入学基準は英検2級程度ですが、実際に授業についていけるレベルとしては英検準1級程度の英語力が必要です。また学部課程(3年制)は進度が速く、欧米同等のカリキュラムを英語でこなさなければならない上、課題量も多く、「卒業の難しさ」に直結しています。『マレーシアなら安心』と油断し、準備不足のまま渡航して授業についていけず、途中で退学する日本人学生も一定数いるのです」(斉藤さん)
異国の地で慣れない環境のもと、生活面でストレスを抱えるケースもある。
「治安については、アジア圏では比較的安全とはいえ、日本と同レベルではありません。繁華街を中心にスマートフォン(iPhone)狙いのスリが発生しており、自己防衛意識が不可欠です。またトイレはイスラム文化の影響で洗浄用ホースが常設され、床が濡れていることが多いほか、低層階の住居ではゴキブリなどの虫害が起きやすい傾向に。生活上のストレスでメンタルを崩し、帰国を選ぶ学生もいます」(斉藤さん)
今まで以上に必要とされる力とは
それなりの準備と覚悟が必要なのは、留学先がどこであろうと同じなようだ。
現状、日本人学生にとって留学環境は厳しいものだが、大企業に入れば一生安泰で安心という時代が終わり世界的にグローバル化やAI化が進むなか、個人の力をつけることが、今まで以上に必要になってきているのではないか、と斉藤さんは話す。
「国内は人口が減っているし、マーケットもシュリンクしていて、もはや世界を知ることはマストになってきています。できるだけ早いタイミングで世界を知ることで、可能性はどんどん広がりますし、マレーシア留学はそれを実現しやすい方法のひとつかと思います。ぜひ視野を広く持って、マレーシア留学も進路の一つの選択肢として知ってもらえたらと思いますね」(斉藤さん)
子供を留学させたいけれど、何千万円とかかる欧米の大学は非現実的、そう考えていた家庭にとって、確かにマレーシア留学は新しい選択肢のひとつになりそうだ。

