お釈迦さまは、「この世は苦だ」とおっしゃいました。お釈迦さまは国が戦争するのも見てきたし、自分の国が滅ぼされるのも見た。人間の嫌なところをたくさん見て、自分が可愛がっていた弟子がどんどん死んで孤独も味わった。それでも、最後の遊行の旅に出られたときに、こんな言葉を残しておられます。

「この世は美しい。人の命は甘美なものだ」(大パリニッバーナ経=大般涅槃経)

この世に対する全肯定、人間に対する全肯定です。お釈迦さまがこうおっしゃったのだから、この世は美しく、人の命は甘美なのだと私は信じます。私たちはもっともっと楽観的に生きていい。私はそう思っているのです。

作家・天台寺名誉住職 瀬戸内寂聴
1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒。63年『夏の終り』で第2回女流文学賞受賞。73年得度。92年『花に問え』で第28回谷崎潤一郎賞、2006年度文化勲章受賞。近著に『生ききる。』(共著)、『奇縁まんだら』。
(山田清機=構成 斉藤ユーリ=撮影)
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