2013年6月19日(水)

プロ野球・日本ハム「大谷獲得」の舞台裏

PRESIDENT 2013年4月15日号

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

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ノンフィクションライター 松瀬 学=文
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7年間で4度のパ・リーグ制覇を果たしている北海道日本ハムファイターズ。強い組織は、どんな考えに基づいて選手を獲得し、育成しているのだろうか。日本ハムファイターズをモデルにして考えてみよう。

イチローは18歳で渡米してもイチローになれただろうか

ここ7年で4度のパ・リーグ制覇を果たした、北海道日本ハムファイターズ。昨年のドラフトでは、メジャー行きを宣言していた大谷翔平選手を敢然と獲りにいった。そこに「スカウティングと育成」にかける球団の信念が見てとれる。やはりスポーツ界でもビジネス界でも、長期的に強い組織とはこうなのだ。

「夢と感動」がファイターズのキーワードである。これが躍進をもたらした力の源泉なのだろう。

南国沖縄の国頭村(くにがみそん)のファイターズの2軍キャンプ地。強い陽射しの下、“二刀流”に挑む18歳の大谷選手が躍動する。193センチ、86キロ。手脚が長く、立ち姿が美しい。メディアがざっと150人、ファンは500人ほど。2軍キャンプ地としては異例のにぎわいだった。

「プロ野球ですから、話題になることは、いいことだと思います」。1軍キャンプ地の名護市営球場のバックネット裏の小部屋。ファイターズの戦力編成の責任者、68歳の山田正雄ゼネラルマネジャー(GM)は大谷選手のことになると、少し表情を和らげた。

いつも腰が低い。穏やかな口調、照れたような笑み。「素材が素晴らしい。チームの主力に育つ選手を集めていかないと、絶対強いチームはできないと思っていますから」。ファイターズは育成型。5年先、10年先を考え、選手を獲得し、育てていくのだ。

ドラフトでは、獲れる選手ではなく、獲りたい選手を獲りにいく。だから、昨年のドラフトでメジャー志望の大谷指名に踏み切った。山田GMの座右の銘が「決断は勇気なり」である。

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