経営再建に足踏みが続くシャープは5月14日、経営陣刷新と2016年3月期までの中期経営計画を発表、再建出直しに背水の陣を敷いた。テレビ事業の不振で大きく沈んだパナソニック、ソニーを加えた家電大手3社の再生への処方箋が出揃ったが、先行きの見通しは厳しい。

シャープの再建策で目を引いたのは、社長交代による経営陣刷新だ。奥田隆司社長は6月25日付で代表権のない会長に退き、取締役も外れ、高橋興三副社長が社長に昇格する。前社長で、米半導体大手クアルコムや韓国サムスン電子との資本提携交渉を進めた山幹雄会長は退任する。在任わずか1年3カ月で退く奥田社長は、会見で「これまでのシャープと決別し、一刻も早く新生シャープをつくりたい」とこの意図を説明した。

再建策を巡っては、山会長と同様、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との出資交渉に町田勝彦相談役が前面に立つなど、再建の舵取り役が明確でないとの内外の批判を受け、経営陣刷新で指揮系統を高橋新社長に一本化する。代表権を高橋新社長に絞る「ワントップ体制」は、ソニーで昨年4月、平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)が就任し、この6月下旬にハワード・ストリンガー取締役会議長が退任、全役職から身を引くのと共通する。

シャープの事業再建策は、企業向けの「BtoB」ビジネスに軸足を置いた点が目立つ。中期計画は自前主義を排した事業提携の活用に加え、最大の課題である液晶事業も長期供給先の確保を掲げた。今年3月末に中期計画を発表したパナソニックも同様に自動車、住宅向けが重点分野。ソニーもオリンパスとの合弁で外科用内視鏡の新会社を設立するなど、新規事業として医療機器分野の強化を図る。

ただ、シャープの場合、提携先のサムスン、クアルコム、さらに液晶パネルを供給する米アップルの顔色を窺わざるをえない。それはテレビを代表格に消費者と直接向き合ってきた家電メーカーとしての存在が薄れ、主導権を握れない部材供給、下請けに甘んじることを意味する。

これは自動車産業を見据えるパナソニックにも当てはまる。サムスンなど韓国勢に白旗を揚げたも同然で、ブランドが消費者から遠ざかることになる。経営再建に向けて避けられない選択とはいえ、世界の消費市場での「ジャパン・ブランド」の地位を一段と低下させかねない危うさをはらんでいる。