新築販売急増:賃貸の空き物件は「奪い合い」状態

【建売り住宅】震災直前の3割増/被災地で生活再建のために家を建てる人が増えている。建売り住宅の急増も同じ構図だ。(AFLO=写真)

震災後の復興需要の中でも立ち上がりが早いと見られるのが、被災者の受け皿となる賃貸住宅への需要だ。だが現実には、「震災以降、被災地域におけるネットでの賃貸入居者募集数は激減しています」と、ネクストの住宅情報サイト「HOME'S」で市場分析を担当する大出裕之氏は指摘する。

「石巻や気仙沼では市内の住宅減少率が5~6割に達する一方で仮設住宅の供給数も少なく、復興のために市外から流入してきた人々の賃貸ニーズもあるため、需要は非常に大きいと見られます。そのためにインターネットで募集する必要がないのでしょう」

つまり空き物件は奪い合いの状態で、ネットで入居者を募集する必要がなくなっているのだ。

この状態はいつまで続くのか。

「賃貸住宅は初期投資が大きく、建築費の元がとれるまでに20年近くかかります。東北地方では人口減少が続いており、目先の賃貸需要が旺盛でも、復興が終われば賃貸経営が苦しくなるのは目に見えています。このため新たな物件供給が進まないのです」と大出氏。ミスマッチ解消は難しそうだ。

一方、新築住宅の販売は急増している。たとえば宮城県第二の都市・石巻市では、震災前を大きく上回る数の物件(建売り住宅)が「HOME'S」に掲載されている。震災直前の11年2月の48件に対して、12年2月は62件と3割増。その後も12年3月は62件、4月は89件と、うなぎ上りだ。

ただ、水産業を主とする気仙沼市などでは新築物件の売り出しも少ない。

「港の整備や水産加工工場の再建が進まず、働き口が少ないからでは」と大出氏は推測する。まずは雇用の創出が必要なのだ。

(PIXTA、AFLO、読売新聞/AFLO、ファミリーマート、茨城県信用保証協会=写真)
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