規制緩和と税制優遇:地元向けの制度だが進出企業にも特典

【復興特区】復興予算20兆円超/東北を中心とした指定自治体が「復興特区」を設定できる。図は仙台市震災復興計画より。

被災地の復興支援については関連予算・各種保険金・義援金等の合計が20兆円を超え(『経済白書』)、規制緩和による後押しも行われている。その代表が「東日本大震災復興特別区域法(復興特区制度)」だ。

「自治体に自ら復興計画を企画していただき、実情に合った特例措置を選ぶか提案して政府に申請するスタイルが特徴です」と復興庁の臼井謙彰企画官が説明する。

農地転用許可基準を緩和し、被災地での住宅供給や高台への移転を促す「復興整備計画」、工場建設の際の緑地面積率の緩和、仮設店舗の利用条件の緩和等の特例を受けられる「復興推進計画」、事業向けの交付金「復興交付金事業計画」が3つの柱。なかには医師不足でも医療サービスを提供するための、医療機関に対する医療従事者の配置基準の緩和など、すでに利用が進んでいるものもある。

税制優遇に関しても、設備投資や不動産の取得を一括で償却することを認める特別償却や、被災地の住民を雇用した場合の給与支給額の税額控除等の特例が設けられた。

「制度は被災地における雇用機会の確保を大きな目的とし、もともと被災地域内にあった地場の企業の救済を念頭に置いています」(臼井企画官)

とはいえ「被災地の雇用や復興に貢献する事業」と認められれば、新たに被災地に進出してきた企業も優遇措置を受けられる。医療機器製造販売業に対する許可基準の緩和は各地で実施されているし、宮城県石巻市や福島県南相馬市などでのメガソーラー発電所、洋上風力発電のフィージビリティースタディー、福島県内の地熱発電所など、再生可能エネルギー分野でも制度の利用が進んでいる。

なお福島県では復興特区制度とは別に、「福島復興再生特別措置法」がつくられ、国による公共工事の代行、健康被害救済のための交付金など、一段と手厚い支援が行われる予定だ。