2013年4月27日(土)

数字・統計・経済に強くなるには

効果満点テクニック【実証7】

PRESIDENT 2011年9月12日号

村上敬=構成 佐粧俊之=撮影
がんばっているのに成果が出ない。そう感じているビジネスパーソンも多い。第一線で活躍し続けるにはもちろん、自己研鑽が必要だ。だが、その勉強 は本当に、仕事の役に立っているのだろうか。ハイパフォーマーの学びの習慣を、600人アンケートの結果を交えながら紹介しよう。
▼神永正博さんからのアドバイス

ビジネスで使う数字には単位が必要です。同じ数字でも円とドルでは金額が異なるし、土木の現場でメートルとセンチを間違えたら大変です。ビジネスの現場では、絶対量の把握が何より重要。だからこそ単位にこだわります。一方、数学はどうでしょうか。数学は関係性を考える学問なので、単位は省いてもいい。そういう意味で、ビジネス数字と数学は別のものです。

数学がビジネスで役に立つとしたら、統計の分野でしょう。データを分析すれば現状を把握したり、さらにトレンドをつかんで未来を予測することもできます。とくに未来予測はビジネスにおいても大いに活躍してくれるでしょう。

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未知の分野は、まずは全体像を把握

しかし、統計を鵜呑みにするのは危険です。なかには怪しいものもあるので、統計のウソを見抜く目が必要です。

チェックポイントは2つあります。まず、サンプルサイズです。たとえば回答者50人のアンケートだと、1人違うだけで数値が2%動くことになる。これでは精度が粗くて参考になりません。

もう1つは調査方法です。1936年の米大統領選では、リテラリー・ダイジェスト誌が共和党のライドン候補を、ギャラップ社が民主党のルーズベルト候補の勝利を予想しました。

調査自体はリテラリー・ダイジェスト誌のほうが大規模でした。ところが実際に当選したのはルーズベルトのほうでした。なぜリテラリー・ダイジェスト誌の調査は間違った結論になったのか。それは電話調査だったからです。当時、電話はまだ珍しく、持っているのは富裕層中心でした。富裕層は共和党支持の傾向が強いため、バイアスのかかった結果になったのです。

こうした危うさがあるのは、現代も同じです。読み方でこれだけ危ういということは、自分で生データを分析したり、それを人に示すときにも細心の注意が必要だということです。都合のよいデータが見つかったからといって、飛びつくのは危険です。

神永正博●東北学院大学教授
1967年、東京都生まれ。東京理科大学理学部卒、京都大学大学院理学研究科博士課程中退。東京電機大学助手、日立製作所研究員を経て、東北学院大学准教授に就任。2011年より現職。著書に『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』など。

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