2013年4月14日(日)

どのような情報を取る、インプットするべきか

効果満点テクニック【実証4】

PRESIDENT 2011年9月12日号

村上敬=構成 佐粧俊之=撮影
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がんばっているのに成果が出ない。そう感じているビジネスパーソンも多い。第一線で活躍し続けるにはもちろん、自己研鑽が必要だ。だが、その勉強は本当に、仕事の役に立っているのだろうか。ハイパフォーマーの学びの習慣を、600人アンケートの結果を交えながら紹介しよう。
▼木暮太一さんからのアドバイス

私の情報収集タイムは、朝の1時間。頭がフレッシュで集中しやすい時間を使って日経新聞や雑誌を読んでいます。気になる記事はiPhoneで撮影して保存します。保存・メモした記事は、暇さえあれば繰り返し読んで、記事内に登場する数字を暗記します。いつでも読めるのだから、数字をわざわざ暗記する必要はないという人もいますが、数字を暗記しているからこそ理解できることも、じつは多いのです。

たとえば、ソーシャルゲームで急成長したグリーは、2011年6月期の経常利益が300億円に達しました。このニュースを聞いても、大半の人は「へぇ」と聞き流して終わりかもしれません。では、ミクシィの経常利益は29億8900万円(2011年3月期)というデータが頭に入っていたらどうか。2つの数字を比較すると、その差は約10倍。

最初はピンとこなかった300億円も、じつはとてつもない金額であることがわかります。数年前は「同業」として比較されていた両社ですが、ここまで差が開いたのです。さらにここから、これだけの差が開いた理由や、両社のビジネスモデルの違いにも考えを深めていくことができます。頭に数字がインプットされているかどうかで、思考の広がりが異なるのです。

かつての私の上司は、部下のプレゼンに対して、「その数字、違っているぞ」とよく突っ込みを入れていました。その上司は、事前に正しい数字を把握していたわけではありません。にもかかわらず鋭く突っ込めるのは、「このケースなら、これくらいの数字であるはず」という相場観を持っていたからです。

相場観を磨くには本来、経験の積み重ねが必要です。ただ、基準になる情報やデータを暗記すれば、その時間をショートカットできる。つまり「暗記」は、時間をかけなくては蓄積できない経験知を、早送りで獲得する方法でもあるのです。

木暮太一●作家
1977年、千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て、独立。大学在学中に自主制作した「気軽にはじめる経済学シリーズ」はロングセラーに。著書に『今までで一番やさしい経済の教科書』など。

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