1)視野を広げること

グローバル化が異例の速さで進み、新たなネットワーク上で知識、アイデア、プロジェクトがすごいスピードで行き交っている。チリからロシアまで、若い人々はInnoCentiveのようなオンラインプラットフォームで互いにつながり、そこから次々に新しいものが生まれている。ネットワークに入れない人たちは、こうした創造的なエネルギーの蓄積を活用することもできず、取り残された状態にある。日本は極端な同質社会であり、多様な働き方、生き方があるという事実にほとんど目が向かない。そういう社会で生きる若い人たちがグローバルにかけめぐる知識やアイデアの流れに乗れずに孤立するリスクは非常に高い。また、日本においては英語という壁がグローバル社会とつながることをいっそう困難にしている。「自らの意思で動く大人」になるためには、どんな選択が可能なのかについての知識が必要だが、それは視野を広げることによってしかはっきり見えてこない。多様性富んだ「ビッグアイデア・クラウド(大人数で緩やかにつながった人的ネットワーク)」を築くことは決定的に重要だ。

2)発言すること

子どもは親と口論することもあるかもしれないが、最終的には親が子を支配するのが親子関係である。成熟した「大人と大人の関係」は会話、相互理解、協働に基づいた、より対等に近い関係である。根底にあるのは、個人が自分の意見を言うことができ、それがきちんと聞いてもらえるという環境である。もし社員がもっと自分の意思で行動したいと思うのであれば、勇気を持って、自分が正しいと思うことを主張する必要がある。日本の企業においてもっと個人が主張すべきである分野のひとつが、職場における女性の役割である。日本企業で経営にかかわるような地位にある女性はきわめて少ない。ダボス会議を運営している世界経済フォーラムの最新のレポートによれば、女性の活用度において日本は135か国中、101位である。本来労働人口の半数を占める女性の意見が企業内で「大人」扱いされないのであれば、彼女たちが「自らの意思で行動」できる可能性は大幅に減るだろう。