――要するに、部下の話を真剣に聞いていないんですね。

【メーカー】基本、上司って部下の話は聞いてないよね。課長は、僕の客先に、たまには行くからアポ獲れと言っておいて、電車の中で「オレ、今日何話すんだっけ?」って。わざわざ事前にレクチャーしてるのに、いい加減にしか聞いてない。

結局、年に1回の表敬訪問だから、相手も覚えてないし、同じ名刺が毎年どんどん増えていく。トランプだったらツーペア、スリーカードは確実にいける(笑)。

【商社】目標も経営からの話を伝言みたいに伝えるだけ。「とりあえず売り上げ40%アップ」とか。方法論も何もなし。

【メーカー】うちにもいるいる、「伝言ゲーム上司」(笑)。「どうしたらいいか一緒に解決していこう」っていう頭がないんだよね。とりあえず「根性でいけ!」とか、昭和の根性論をぶつ。

【商社】部下の話は聞かないくせに、自分の指示は絶対だったりする。商社って営業はみんな外に出ちゃうから、連絡は基本メール。常にパソコンは携帯してるけど、週末に問題が起こったことがあった。出張中の上司からメールが入っていたんだけれど、週末だから朝晩ぐらいしかメール見ないじゃない。日曜の夜にチェックしたら、「何で返信しないんだ!」ってメールで上司がブチ切れてて。すぐ月曜日に出張しなくちゃいけないような大変な事態だったんだけれど、だったら携帯に一本電話してくれよと思う。

【銀行】それを聞くと、僕の今の上司は、向こうからコミュニケーションしようと努力してくれている感じはするな。ちょっと細かいところはあるけど。

【証券】さすがメガバンク。うちみたいな中堅金融と違って、もともと優秀な人材がそろっているんじゃないかしら。

【銀行】いや、もちろんいますよ、大変な「困ったちゃん」上司も。うちは合併を繰り返しているじゃないですか? そうすると40代以上で旧行意識にとらわれて、現状を受け入れられない人がいる。プライドが高くて、いい時代の記憶にしがみついていて、凝り固まっているんだよね。昔、地方にいたときの上司がまさにそのタイプで、長い間海外駐在やって、戻ってきたら合併。ポストも減ったから処遇に不満たらたら。国内リテールと海外だと、いろいろと業務で違うことが多いのに、プライドが邪魔して簡単なことでも部下に「聞けない」んですよ。

【メーカー】「聞かない上司」も困るけれど、それは「聞けない上司」だね。特にバブル世代以上は、なまじいい時代の成功体験があるから、そこから抜け出せない。

【銀行】現場のことが何もわからないから、指示の出しようがないうえに、知ったかぶりするから余計始末が悪い。そういう人が支店長だと、エリアの支店長同士の横の情報交換でもコミュニケーションとりづらいから、支障が出るんだよね。

数字は下がるし、360度評価で下からひどい評価が続いて結局、飛ばされちゃった。振り返ってみると、本当に何もやっていなかった上司だった。

【商社】でも、ちょっとうらやましいな。やっぱり大手は評価システムとかきちんとしてるんだね。うちは人数が少ないから、360度評価のシステムがあっても、なあなあで意味がない。部下が少ないから、匿名でも「おまえオレに悪い評価つけたな」ってわかっちゃうんだもん。だから、最悪な上司でもずっとそのまま。

【メーカー】こっちの評価をするのも、直属の上司だけなんだよね。プレーイングマネジャー上司は、上司というよりも同じ仕事をする同僚、数字を背負ったライバルみたいなもの。でも上司だから評価はするし、モチベーション下がりますよ。